外皮計算とは
設計している建物(建てようとしている家)が、どのくらいの熱を損失(室内から逃げていく熱量)するかを計算するのが外皮計算です。
外皮計算は、建物完成後に判明するのではなく、設計時に算出することができますので建てる前に「断熱性の高い家」かどうかを判断することができます。
外皮計算で算出される数値を「UA値」といい建物の断熱性能を表します。
「UA値」が大きい家ほど、熱が外に出ていき、数値が小さいほど高断熱な家と言えます。
地域区分 | UA値 | 主な該当都道府県 |
---|---|---|
1・2 | 0.46以下 | 北海道 |
3 | 0.56以下 | 青森県・岩手県・秋田県 |
4 | 0.75以下 | 宮城県・山形県・福島県・栃木県・新潟県・長野県 |
5・6 | 0.87以下 | ・茨城県・ 群馬県 ・埼玉県・ 千葉県 ・東京都・ 神奈川県 ・富山県 ・石川県 ・福井県 ・山梨県・ 岐阜県 ・静岡県 ・愛知県 ・三重県・ 滋賀県・京都府 ・大阪府・ 兵庫県 ・奈良県・和歌山県 ・鳥取県・島根県 ・岡山県 ・広島県 ・山口県 ・徳島県 ・香川県・ 愛媛県・高知県 ・福岡県 ・佐賀県・長崎県 ・熊本県・ 大分県 |
7 | 0.87以下 | 宮崎県・ 鹿児島県 |
8 | – | 沖縄県 |
※UA値は、住んでいる地域によって区分が異なるので、該当する地域の基準値を参考
車を買う場合、経済性の判断に「燃費」があります。
燃費(光熱費の安い)の家=UA値が小さい家
建物の断熱性能は、光熱費に直結しますのでランニングコスト(維持費用)が高い家になってしまいます。
UA値が小さく断熱性能が高くなる効果とは
UA値の数値が小さいほど高断熱であるという事と、どれくらいの数値になれば良いのかが掴めたのではないでしょうか。
お住まいの関西圏のUA値の数値を参考に、推奨されている数値に近づけることが高断熱住宅を実現させるためには必要です。
次に断熱性能が高いとどのような効果があるのかを見ていきましょう。
効果1:1年を通じて快適に暮らせる
UA値の値が小さいほど断熱性能がアップするということは、1年を通じて快適な室温を保つことができます。
外気温度に左右されにくい住宅になるので、夏の暑さと冬の寒さの軽減に繋がります。
また、UA値が小さいということは室内の空気が外へ逃げにくいため、一旦室温が安定するとある程度室温を保ち続ける効果があります。
効果2:光熱費のランニングコストが抑えられる
UA値の数値が大きいということは断熱性能が低く、室内の空気が外に逃げてしまうということなので、冷暖房費が高くなりランニングコストが上がります。
例えば夏の暑い日には、エアコンをフル回転させ付けっぱなしの状態になり電気代が高くなってしまいますよね。
反対に冬はエアコンだけでは追い付かない場合は、床暖房や電気ストーブなど他の暖房器具に頼る場合もあります。
どのような暖房器具を使用するにしても、電気やガス、灯油など光熱費は増える一方です。
UA値の小さい高断熱住宅に暮らしていれば、熱が外へ逃げる量が少なくなるため光熱費の節約に繋がりランニングコストも抑えられます。
効果3:ヒートショックのリスク軽減
UA値の値が小さければ、家の中でも各部屋の室温の差が少なくなるのでヒートショックのリスクが軽減できます。
ヒートショックは温度差で生じるため、部屋と廊下、廊下と脱衣所、脱衣所とお風呂などで起こりやすく高齢者は特に危険です。
UA値が小さく断熱性能が高くなれば、家の中全体がある程度均一な室温に保たれるため、ヒートショックを起こす確率も低くなります。
効果4:地球環境に優しい
高断熱の家は冷暖房を効率よく使用できるため地球環境に優しいといえます。
CO2の削減や地球温暖化の抑制にも繋がり、世界的な社会貢献にも役立ちます。
UA値を計算しない建築会社もある
工務店やビルダーによってはUA値を設計毎に計算しない会社もあります。
また、計測するなら有料というところも少なくありません。
自動車で例えると新車のカタログに燃費情報が記載されていないようなものです。
建築業者を選ぶ際は、UA値を公表している信頼性のある建築会社を選びましょう。
設計段階(建てる前)に設計上の断熱性能を確認するということは大事ではないでしょうか?