空き家を放置する4つのリスクと解消方法を紹介!空き家を保有している方が行うべき3つの行動とは?

「実家が空き家状態になっているけど大丈夫?」

「空き家を放置したらどうなる?」

親の実家を相続したものの空き家の状態になっている方も多いのではないでしょうか。空き家をそのままにしていると、さまざまなリスクが生じ、思いがけない事態になる可能性があります。

そこで、この記事では空き家を放置する4つのリスクと解消方法、これから行うべき3つの行動について紹介します。

年々増加している空き家

総務省が発表した「平成 30 年住宅・土地統計調査住宅及び世帯に関する基本集計」によると、以下の図の通り、日本の空き家戸数は2018年度で848 万9,000戸と、毎年増加していることがわかります

出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査  住宅及び世帯に関する基本集計

空き家が増えた背景にはさまざまな理由が挙げられますが、その中でも主な要因は以下の3点だと考えられます。

土地の相続者が複数人いるため、空き家の管理や売却などをどうするか折り合いがつかない

相続が発生したあと、不動産を複数名で所有する共有名義にしていた場合、活用用途がまとまらずに、そのままにしているケースが挙げられます。

権利関係の複雑化していて収集が付かず放置している

空き家を共有名義で相続し、雪だるま形式で相続人が増えたため、収集が付かず放置したままとなっているケースが挙げられます。

家があると土地の固定資産税は軽減されるからそのままにしている

空き家であっても建物が建っていれば、200m2以下の部分の土地に関しては、固定資産税が6分の1になる軽減措置を受けることが可能なため、解体せずに空き家のままにしている方もいらっしゃいます。

空き家を放置する4つのリスク

空き家を放置するとさまざまなリスクが伴い、金銭的、精神的ダメージを受けることにもなりかねません。そのため事前に以下の4つのリスクを把握しておくべきです。

  1. 老朽化に伴う倒壊や落下に伴う事故
  2. 地域の景観を損なう
  3. 害虫・害獣、不法投棄などの衛生リスク
  4. 近隣住民とのトラブル

一つずつどのようなリスクなのか、確認しておきましょう。

老朽化に伴う倒壊や落下に伴う事故

空き家のままにしていると、建物が老朽化し、倒壊や落下などに伴う事故が発生する可能性が高まります

日本の建物は木造が多く、定期的な換気を行わなければ、木材は腐食してしまい、倒壊リスクが高まります。

さらに老朽化によって瓦や外壁などが飛んだりすることで、最悪の場合は人的被害にもつながりかねません。

地域の景観を損なう

老朽化している建物は、外観の破損も目立ち、ボロボロになりやすく、地域の景観を損なうことにもなります

さらに、手入れをしていないと、敷地内の草木が道路や隣地まで越境(敷地を超えている状態)して通行人の邪魔になったりするケースやケガにつながる可能性も高まります。

害虫・害獣、不法投棄などの衛生リスク

放置された空き家は衛生面の悪化により、害虫や害獣などの生息地となり、近隣住民に被害を与えてしまう可能性が高くなります

さらに不法投棄をする場所として悪用される可能性が高まり、より一層、衛生環境の悪化につながりかねません。

近隣住民とのトラブル

上記の3つのリスクは、近隣住民とのトラブルにつながりかねません。空き家から離れて居住していると、近隣住民から苦情は届きにくいかもしれませんが、空き家を放置したまま対処しないと、自治体などから連絡が来る場合もあります。

実際に空き家をそのままにしていた結果、近隣住民へ以下のような損害を与えてしまったケースも多いです。

  • 倒壊した建物の一部が隣家に被害を与えた
  • 火事によって隣家が被害を受けた
  • 空き家を中心に害虫が大量発生した

上記のトラブルが発生すると、空き家の対処を行っても近隣住民から損害賠償金などを請求される恐れもあります。

空家等対策の推進に関する特別措置法とは

2015年に空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、特定空き家に該当した建物は土地の固定資産税の軽減措置の対象から外れるようになります。

以前は空き家であっても所有者の許可なく立ち入ることはできませんでしたが、本法令により、行政機関が立入調査ができるようになり、住民票や戸籍などで所有者の個人情報を調べることも許可されるようになりました。

そのため、どの家が空き家であるのかがわかるのと同時に、所有者の特定が容易となります。空き家を所有している方は、特定空き家に該当しないように注意しなければいけません。

特定空き家に該当するとどうなる?

特定空き家に該当した空き家は、行政から「助言・指導」「勧告」「命令」「代執行」という4種類の措置が実施されることになります。

上記の措置に対応しないと、罰則が課せられるうえ、固定資産税の軽減措置の対象から外れるため、高い税金を支払うことにもなりかねません

そのため、特定空き家になった建物は、行政から指導などをされる前に改善する必要があります。では、具体的にどのような空き家が特定空き家に該当するのか、次の項で詳しく解説します。

特定空き家に指定される4つの条件

特別措置法第二条二項において、以下のいずれかに当てはまる空き家は、特定空き家に該当します。

  1. 倒壊や著しく保安上危険となるおそれのある状態:柱が傾斜している。基礎に不同沈下があるような状態。
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態:浄化槽などから汚物や排出物の流出によって悪臭を出している建物である状態。ごみの放置や不法投棄によって近隣住民の生活に支障をきたしている状態。
  3. 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態:景観法に基づき景観計画を策定している地域であるにもかかわらず、建物がその地域の景観に著しく適合しない建物である状態。(落書きや立木が建物を覆っているような状態など)
  4. 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態:立木の腐朽、倒壊、枝折れ等が生じ、近隣道路まで越境している状態や歩行者の通行を妨げている状態。

引用:租税特別措置法 | e-Gov法令検索

上記をまとめると、「倒壊リスクがあり保安上危険な建物」や「衛生上有害となる建物」、「景観を損なっている建物」や「生活環境上不適切な建物」などが該当するということです。

また、さらに令和5年12月13日より、管理が行き届いていない管理不全空家も固定資産税の軽減措置が受けられなくなったため、通常の空き家でも放置しないようにしなければいけません。

放置した場合の罰則・罰金

行政から適切な管理や対策を講じるよう「助言・指導」「勧告」を受けたものの、対応せず、そのままと空き家を放置していた場合、行政から「命令」「代執行」が行われ、強制的に修繕や解体を行うことができ、その費用を所有者に請求されることになります

行政が行ったとしても、費用負担は所有者です。自分で解体やリフォームの見積もりを取った方が安くなるケースも多いため、注意が必要です。

空き家放置を解消する3つの方法

空き家を所有している方は、特定空き家や管理不全空家に該当しないようにしなければいけません。

ここでは空き家放置を解消する3つの方法を紹介します。

  1. 建て替えする
  2. リフォームして貸し出す
  3. 売却する

ひとつずつ確認していきましょう。

建て替えする

空き家を解体して建て替え、居住用や賃貸用として貸し出す方法です。空き家を解体して更地にしても、高い固定資産税や都市計画税を支払い続ける負の財産となってしまいます。

戸建て住宅やアパートを建築し、賃貸物件として貸し出せば、家賃収入も得られるうえ、固定資産税の軽減措置も適用されます。

もちろん自己の居住用として利用しても問題ありませんが、既にマイホームを持っている方や、空き家がある地域に仕事の関係上住めない方も多いでしょう。そのため、建て替えて第三者に貸し出す方法も有効です。

リフォームして貸し出す

建て替えよりコストを抑えたい方は、リフォームなどを行って貸し出すのも選択肢の一つです。近年では古い建物をリフォームやリノベーションして貸し出す方も増えています。

建て替えするとなると、数千万円以上のコストがかかりますが、リフォームであれば数百万円ほどと費用を抑えることもできます。

ただし、構造躯体が腐食している建物の場合、リフォームで修繕できない可能性もあるため、建築士のホームインスペクション(住宅診断)等を行ってから検討した方がよいでしょう。

売却する

不動産を売却してしまえば、売却利益が得られるうえ、建物の管理も不要となり、固定資産税を納税する必要もなくなります

空き家は《古家付き土地》として売買できます。マイホーム用地として購入し、空き家を解体して建替えるというケースも多いため、、売却できます。

ただし、不動産を売却して利益が生まれると、譲渡所得税などを納めなければいけません。そのため納税額の計算を踏まえて売却サポートしてくれる専門家に相談してから検討しましょう。

空き家を売却することで相続税評価額の圧縮につながる

空き家を売却すれば、相続税評価額の圧縮にもつながります。売却価格より相続税評価額の方が高ければ、現金に換えてしまった方が相続税の課税対象価額を抑えることができます。

例えば空き家の相続税評価額が2,000万円で、売却価格(時価)が800万円の場合、1,200万円の相続税評価額を圧縮できるということです。

もちろん、すべての空き家が相続税評価額の方が低いとは限りません。必ず専門家に計算してもらってから判断しましょう。

空き家を保有している方が行うべき3つの行

空き家をそのまま所有していても負の財産となってしまううえ、相続税の課税対象にもなりかねません。そのため、売却や建て替えなどを検討しなければいけませんが、その前に行うべき行動が3つあります。

  1. ROA分析(相続財産診断)で現状把握をする
  2. 相続税のシミュレーションで納税額を算出する
  3. 専門家に相談して空き家の対処を行う

すぐに対処するのではなく、上記の行動を確認しておきましょう。

ROA分析(相続財産診断)で現状把握をする

すぐに売却や建て替えするのではなく、まずは現状の資産と収益性の分析が必要です。

ROA分析とは、「Return on Assets」の略で、事業に投下されている資産に対して利益がどれくらいあるかを示した指標です。不動産の相続税評価と実勢価格、収益性をすべて見える化することができます。

自分が所有している資産全体(約70%は土地などの不動産)の相続税評価額を調べ、想定される相続税に相当した市場価値に対しての土地を有しているかなどの診断に役立たせます。

相続税額に対応できる収益性がなければ、資産の組み換えなどを検討しなければいけません。当社では現状ROA分析のサポートを行っております。大切な財産を守り続けるためにも、自身の所有不動産の分析をする機会にもなります。ぜひ一度、ご相談下さいませ。

相続税のシミュレーションで納税額を算出する

自分の相続税の納税額のシミュレーションを行うようにしましょう。空き家を売却する前に資産全体について考慮しなければいけません。

相続財産の全体像を把握し、相続税額がいくらになるのかが分からないと、相続税評価額の圧縮につながるのかどうか?売却すべきか?を判断するのは困難です。

相続税の計算は「税理士が10人居たら10通りの答えが出る」と言われるほど複雑です。

当社では、相続を専門に扱う相続コンサルタントが在籍しております。また相続に強い税理士とも連携しておりますので、ぜひ一度ご相談下さいませ。

専門家に相談して空き家の対処を行う

空き家を所有している方は、専門家に対処方法を相談しておきましょう。ROA分析や相続税のシミュレーションなどを専門家に依頼し、現状分析したのちに空き家の活用方法を検討すべきです。

ただ売却したり、建て替えするのではなく、どのような活用がベストなのかを見極めてもらうことが大切です。

「空き家を持っているけどどうしたら良いのか分からない」という方は、専門的な知識やノウハウを持っている日本中央住販へご相談ください。

当社は奈良県での不動産・住宅販売業者として、12年連続で地域ナンバー1となり、多くのお客様よりご支持を頂いて参りました。

不動産のスぺシャリストとして、空き家問題の解決にも注力しております。空き家の解決方法で悩んでいる方はぜひ一度ご連絡くださいませ。

まとめ

空き家を放置したままにすると、近隣住民とのトラブルにもつながり、固定資産税の軽減措置が適用されなくなる可能性も高まります。

さらに行政執行として解体され、費用を請求されるリスクも伴うため、事前に対処方法を検討しなければいけません。

建て替えや売却、リフォームなどさまざまな対処が挙げられますが、自分にとってベストな方法を見つけるためにも、専門家に相談しておきましょう。

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