「なぜ不動産の活用で相続税が安くなるの?」
「どのように活用する?」
「不動産で相続税対策を行う際の注意点は?」
アパートやマンションなど、収益を目的とする不動産を活用することで、相続税を大きく圧縮することができますが、どのような理由で節税できるのでしょうか。
不動産は購入するにせよ、建築するにせよ、多額の費用がかかります。
節税の仕組みを理解していないと活用するのにも不安を抱く方も多いでしょう。
この記事では、不動産の評価方法と相続税の節税対策になる5つの理由と注意点を紹介します。
不動産の評価方法
相続税の計算において、不動産の評価は現金などより小さく評価されます。
相続税は、被相続人(亡くなった方)が所有していた財産を相続や遺贈などによって取得した場合、その取得した財産に課せられる税金です。
財産は評価額という形で課税遺産総額に含まれます。
例えば現金1億円の場合、そのままの金額で評価されますが、1億円を使って不動産を投資すれば、評価額が小さくなります。
ではどのような方法で不動産の評価額は計算されるのでしょうか。ここでは家屋と土地の評価方法について紹介します。
家屋の評価方法
家屋の評価方法は、固定資産税評価額と同じです。
固定資産税評価額とは、固定資産税や不動産取得税などを算出する際に基準となる評価額で、「固定資産税課税明細書」に記載されています。
家屋の固定資産税評価額は、新築時の場合、本体価格の70%程度となるケースが多いです。一方、家屋の固定資産税評価額は、建物が年々劣化していくことから3年に1度見直しされ、評価額が下がっていくのが一般的です。
また、建物が賃貸物件などであれば、以下の計算式で算出した分を、家屋の評価額から下げることができます。
<貸家の場合> 貸家の評価減割合=固定資産税評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合 |
借地権割合とは、借り手側が家屋を借りて使用する権利のことで、30%と定められています。賃貸割合は、貸している床面積の割合のことで、満室であれば100%となります。
例えば現金6,000万円を使って建築した建物の固定資産税評価額を4,200万円(時価の70%と仮定)とします。(この時点で現金より評価額が低くなることがわかります。)
さらに空室がなければ「4,200万円×30%×100%=1,260万円」の評価額を圧縮できるため、貸家の相続税評価額は「4,200万円-1,260万円=2,940万円」になるということです。
土地の評価方法
土地の評価額は「路線価方式」と「倍率方式」の2種類あります。
「路線価方式」とは、国税庁が公表している1㎡あたりの土地価格で、相続税を計算する基礎となります。
<路線価方式> 土地の評価額=路線価×敷地面積(㎡) |
一般的に、土地の相続税評価額を算出する際は、路線価方式を用いて算出しますが、土地の形状によっては奥行価格補正など、さまざまな補正が入るため、計算が複雑です。
一方、路線価は全ての土地に定められているわけではありません。
地方の農地が広がるエリアや山間部などの地域では路線価が定められていないため、固定資産税評価額に一定倍率を掛けた「倍率方式」で相続税評価額を算出します。
<倍率方式> 土地の評価額=固定資産税評価額×倍率 |
路線価がある地域は「路線価方式で算出」、ない場合は「倍率方式で算出」します。
なお、路線価と倍率は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認することが可能です。
不動産が相続税対策になる5つの理由
ここでは不動産が相続税対策になる5つの理由を紹介します。
預貯金より不動産の方が評価額が低いため
先程もお伝えした通り、現預貯金より不動産の方が評価額が低くなるためです。
現金1億円を所有している方は、そのままの金額が評価額となります。
しかし、1億円を使って不動産へ投資すれば、おおよそ6割〜7割前後まで圧縮される可能性が高まります。
もちろん物件によって異なるため、相続税の計算が必要です。
賃貸物件の土地は「貸家建付地」でさらに減額できるため
貸家が立っている土地は、「貸家建付地」として、土地の評価額が減額されます。
賃貸アパートや戸建て貸家などがある土地は、以下の計算式で相続税評価額を算出します。
貸家建付地の価額=自用地としての価額-(自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
自用地としての価額は路線価方式または、倍率方式で算出した評価額のことです。
借地権割合は、土地の権利のうち借地が何割を占めるかを示す数字です。
例えば、自用地の評価額が3,000万円の固定資産税評価額で、借地権割合が60%で空室がないと仮定すると、土地の固定資産税評価額は2,460万円まで圧縮されます。
建物は年々評価額が減額するため
建物は年々劣化していくことから、固定資産税評価額も減額されていきます。
土地・家屋の固定資産税評価額は、3年に1度見直しが行われることになっています。
一般的には建物の固定資産税評価額が築年数に合わせて下がるため、相続税の課税遺産総額も低くなります。
もちろん、地価上昇などによって土地・建物の価値が上がるケースもあるため、必ずとはいいきれません。
小規模宅地等の特例が活用できるため
小規模宅地等の特例を利用できれば、土地の評価額を一定面積まで5割または8割減額できます。被相続人が居住していた土地や事業を行っていた土地が対象です。
被相続人が住んでいた家の土地であれば、「330㎡まで8割減」、被相続人等の貸付事業用の宅地であれば、「200㎡まで5割減」となります。
敷地330㎡の土地の相続税評価額が3,000万円の場合、600万円まで圧縮できるということです。
もちろん細かな要件が定められていますが、決して難しい要件ではないため、利用できるケースが多いです。
要件について詳しく知りたい方は「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」をご確認ください。
金融機関の借入は課税遺産総額から差し引けるため
不動産投資のための金融機関の借り入れは、相続税の遺産総額から差し引くことができます。
現金を所有していても、今後の生活費などに用いるため使えない方もいらっしゃることでしょう。
そのため、金融機関の融資を利用して不動産を投資し、相続税対策をされる方も多いです。
不動産で相続税対策を行う際の注意点
不動産の活用で相続税の圧縮が可能ですが、注意しなければいけない点もあります。
- 家賃収入による預貯金の増加
- 不動産投資は事業であることを理解しておく
- 相続納税額に合った活用を行う
ここでは3つの注意点を紹介しますので、ひとつずつ確認しておきましょう。
家賃収入による預貯金の増加
アパートや戸建て貸家などから得られる家賃収入は、相続税の課税遺産総額に含まれます。
そのため、家賃収入が多いほど相続税は増える恐れがあります。
ただし、家賃収入があるということは、相続人に渡せる財産も増えることになります。
相続人としては、納税額だけを気にするのではなく、相続できる財産が多い方がメリットが大きいです。
そのため、相続税とのバランスを考慮しておくことがポイントです。
不動産投資は事業であることを理解しておく
不動産投資は事業であるため、収益が生まれなければ損をします。
特に不動産投資をされる方の多くは金融機関の融資を利用します。
毎月の返済もあるのに対し、入居者がおらず赤字になってしまうようなのであれば、預貯金から返済していかなければいけません。
相続税対策とはいえ、投資する物件の入居需要や返済割合、空室リスクや経年による家賃収入の低下などを十分考慮しておきましょう。
相続納税額に合った活用を行う
相続税対策で不動産へ投資する場合、納税額に合った金額の物件を選ぶようにしましょう。
相続税が大きくかからないのにも関わらず、高額の投資物件を選定される方もいらっしゃいます。
もちろん金額が高くても収益が出れば事業としては安定します。
しかし、当然ながら多額の借入れを行うことにもなるため、返済リスクは高まります。
そのため、不動産の活用によって相続税対策を行う際は、次の項で行う3つの事項から始めるようにしましょう。
相続税対策で不動産を活用する前に行う3つの事項
相続税対策としてすぐに不動産投資を始めるのではなく、まずは自身の資産状況や相続税額などの分析が大切です。
現状分析をすることで、正しい相続税対策ができるようになるため、ここでは相続税対策で不動産を活用する前に行う3つの事項を紹介します。
- ROA診断受けてみる
- 相続税のシミュレーションで納税額を算出する
- 専門家の無料個別相談受けてみる
ひとつずつ確認しましょう。
ROA診断受けてみる
はじめに、ROA診断を受けてみましょう。
ROA診断とは、「Return on Assets」の略で、総資産に対して利益がどれくらいあるかを示す、財務分析の収益性指標のことです。
不動産の相続税評価と実勢価格、収益性をすべて見える化することができます。
現状の不動産では、相続税額に対応できない場合、資産の組み換えなどの工夫が必要です。
当社では現状ROA分析のサポートを行っております。大切な財産を守り続けるためにも、自身の所有不動産の分析をする機会にもなります。ぜひ一度、ご相談下さいませ。
相続税のシミュレーションで納税額を算出する
相続税額に合った不動産の活用をするためにも、相続税のシミュレーションを行い、納税額を算出しておきましょう。
納税額もわからないのに不動産投資を行っても、どれくらい節税になるのかわかりません。「不動産投資を行ったけどほとんど節税にならなかった」というケースも少なくありません。
そのため、税理士などの専門家による相続税額の計算を行ってから不動産投資を始めましょう。
ただし、相続税の計算は「税理士が10人居たら10通りの答えが出る」と言われるほど複雑です。
当社では、相続を専門に扱う相続コンサルタントが在籍しております。また相続に強い税理士とも連携しておりますので、ぜひ一度ご相談下さいませ。
専門家の無料個別相談受けてみる
相続税対策として不動産の活用を検討している方は、はじめに専門家の無料個別相談を受けてみるのをお勧めします。
本記事では、相続税を圧縮するための不動産の活用術を紹介してきました。ただし、不動産投資が全てではありません。
相続税対策には50種類を超える方法があるため、どのような方法が合っているのか見極める必要があります。
当社では、相続に関する勉強会を開催しております。
「相続税対策をしたいけどどうしたら良いのか分からない」という方や、「相続の基礎を学びたい」という方は、ぜひご参加ください。
当社は奈良県での不動産・住宅販売業者として、12年連続で地域ナンバー1となり、多くのお客様よりご支持を頂いて参りました。
相続税対策として活用できる不動産のスペシャリストとして、お客様のお悩みをサポートいたします。
これから相続と向き合う方は、ぜひ一度ご連絡くださいませ。
まとめ
相続税を最小限にするためには、不動産の活用が有効です。
現金と比較すると、土地や建物の評価額が低くなるため、相続税の圧縮につながります。
相続税は、親ではなく子どもが支払う税金です。残された家族がお金で苦労しないためにも、早い段階から相続と向き合う必要があるでしょう。
自分に合った不動産投資先を見つけるためにも、まずは相続に関する知識を身に付けることが大切です。
当社では勉強会を定期的に開催しております。また相続に関する個別相談も承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。