テレビやネット上でもよく取り上げられている終活。「終活って何歳から始めるの?」「どんなことをするのだろう?」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
また、老後と勘違いされる方も多いですが、双方の意味は異なります。正しい意味を理解して終活を行わないと、残された家族が困ってしまうこともあるため、この記事では終活を始める年齢と老後との違いと、家族が円満に相続するための2つのポイントを紹介します。
終活を始めるタイミングはいつ?
終活を始めるタイミングは、60歳や65歳となったタイミングで行う人が多いです。しかし人によっては30代や40代で始める方もいらっしゃいます。
日本では、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症するとされています。認知症となった方は、「預金口座の入出金」「不動産の売却や建て替え」「保険金の契約や解約」など自身の財産の運用に制限がかかります。
さらに以下の図のように、厚生労働省が発表した「認知症の人の将来推計」を確認すると、今後ますます認知症になる方は増加すると予測されています。
認知症になってからでは自分の財産はおろか、身の回りの整理にも制限がかかってしまうため、早い段階から終活を行っている方も多いです。
また、万が一不慮の事故や病気によって若い年齢で亡くなってしまうと、残された家族も不安が残ります。少しでも安心させるためにも、40代などの年齢で終活を始める方も増えています。
まだ「自分は若いから大丈夫」と考えている方もいらっしゃいますが、何かあってからでは遅いため、老後になってから考えるのではなく、今のうちから終活を考えておくようにしましょう。
終活と老後の違いとは?
そもそも終活と老後は、どのような違いがあるのでしょうか?ここでは老後と終活の意味と違いを紹介します。
老後は退職後の生活のこと
老後とは、一般的には会社を定年退職した60歳、または65歳以降の生活のことです。
退職後に旅行や趣味に時間やお金を費やしたりして余生を楽しむ年齢や、公的年金や退職金以外に準備した資金を生活費として使いはじめるタイミングなどを指します。
明確な定義は定められていないものの、日本では「定年退職後」という認識が高いです。
終活は人生の最期に向けての準備のこと
終活は自分の人生の最期について行う準備のことです。老後は定年退職後から楽しむ人生をイメージされますが、終活に関しては亡くなる前までにやっておくべき活動や事前準備のことを指します。
例えば、介護などの意向をまとめたり、自身が亡くなった時の葬儀方法の決定、遺産相続についての検討などが終活として挙げられます。
老後は残りの人生生活のことを指しますが、終活は残りの人生でやっておくべき準備と認識されています。
終活の必要性とは
これから終活をはじめようか検討している方は、そもそも終活の必要性を理解しておく必要があります。
- 残された家族が円満に相続するため
- 不要なものを処分するため
- 遺産トラブルを防ぐため
「なぜ終活が求められているのか」について上記の3点を紹介します。
残された家族が円満に相続するため
終活を行えば、自身のことや周りのことを家族に伝えることができるため、残された家族は円満に相続することができます。
相続手続きをする遺族にとって、一番困るのは「どこに何があるのかわからない」という点です。被相続人(亡くなった方)に関する手続きをしたくても、書類の場所やパスワードがわからないと手続きに着手できないこともあります。
しかし終活を行って家族に必要事項を伝えておけば、手続きもスムーズに進めることができます。
不要なものを処分するため
終活では不要なものを処分する機会にもなります。趣味で集めた物や、残された家族にとって不要なものを、終活を機会に処分するタイミングでもあります。
ただし、注意しなければいけない点は、不動産などの財産を売却してしまうことです。終活を意識するあまり、不動産などを売却すると、現金が増えて相続税が高額になる恐れがあります。
相続税は、現金より不動産の価値の方が低いため、安易に売却してはいけません。必ず専門家などに相談してから処分するものを決めましょう。
相続トラブルを防ぐため
遺産を誰に相続させるかを終活として家族間で話し合いを行っておけば、遺産を巡る相続トラブルを防ぐことにつながります。
話し合いをする際は、必要最低限の遺産にまとめておくことも大切です。
数多くの遺産があると、誰がどれくらいの金額分を相続するのかわかりにくくなります。その結果、話し合い自体が面倒となり、そのまま相続してトラブルになるケースも考えられるでしょう。
主に以下の遺産を整理してまとめておけば、残された家族での遺産争いになる可能性を抑えることができます。
- 預貯金
自分が保有している銀行口座の預金残高を確認し、いくらあるのかを把握します。不要な口座や預貯金額が少ない口座は一つにまとめておきましょう。定期預金や口座の解約は本人以外が行おうとすると、時間と手間がかかるためです。
- クレジットカード
使用していないクレジットカードがある場合は、解約手続きをしましょう。クレジットカード会社によって異なるものの、年会費がかかるカードであれば、無駄な支出を抑えることができるためです。
- 有価証券
株式などの有価証券を所有している方は、運用報告書をもらっておきましょう。運用報告書があれば、現時点での運用実績、費用、資産や負債などの情報が記載されているため、一目で財産額がわかるようになります。
- 保険関係
必要のない保険に加入している場合は、解約しておきましょう。また、保険金の受取人が誰になっているのかも確認し、家族間で話し合いを行い決めましょう。
終活する際はエンディングノートを作成しよう
終活をする際は、エンディングノートを作成しておくと便利です。
遺言書と勘違いされる方も多いため、ここではエンディングノートの概要について紹介します。
エンディングノートとは?
エンディングノートとは、終活でやることをまとめたノートのことです。終活で行うことを頭の中で考えても、やることが多いと何から始めればわからなくなります。
しかしエンディングノートにまとめておけば、効率よく終活をすることができます。さらに亡くなってからは、相続人がエンディングノートを見ることになります。そのため相続人に伝えたいことなどを記載することも可能です。
遺言書との違い
エンディングノートは遺言書と異なり、法的な効力はありません。エンディングノートに遺産の相続先を明記しても、被相続人通りの意志通りになるとは限らないため注意が必要です。
遺言書はある程度記載内容が決まっておりますが、エンディングノートは自由に記載することができます。とはいえ一般的にはどのような内容を記載するのかわからない人も多いため、次の項で紹介します。
エンディングノートにまとめる内容
エンディングノートは自身の好きなことを記載して構いませんが、一般的には以下の項目を記入します。
自分の基本情報について
家族の方は周知しているかもしれませんが、自分の基本情報を記載しておくと、万が一の時に家族の方が一目瞭然で助かります。
基本情報は「生年月日」や「本籍地」、「血液型」などを明記するほかに、自分の好きな食べ物や趣味などの内面的な情報を記載しておくと、棺の副葬品として入れてくれたりもします。
また、自分の情報をエンディングノートに記載しておけば、家族の方も被相続人に関する手続きをする際、スムーズに進められます。
主に以下の項目を記載するケースが多いため、参考にしてください。
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財産・資産のこと
自身の財産や資産、年金証書や保険証書、印鑑や通帳などの保管場所を明記しておきます。エンディングノートに明記することで、相続が発生した後の財産調査がスムーズとなり、遺産分割を行いやすくなります。
財産や資産がどこにあるのかわからないままだと、遺産分割ができないうえ、正しい相続税の算出ができません。
相続税は、相続が発生した翌日から10か月以内に申告と納税をしなければいけません。財産の調査が完了せず納税が遅れてしまうと、延滞税などのペナルティが課せられるため、どこに財産があるのかをエンディングノートに明記しておきましょう。
スマホやネット関係の情報
SNSなどのパスワードなども記載しておくようにしましょう。特に月額料金を支払うサブスクリプションなどの解約時には、パスワードやIDが必須となります。
退会手続きをスムーズに進めるためにも、スマホやネット関係の情報を記載しておくようにしましょう。
相続・遺言書について
遺産相続の内容や遺言書の保管場所もエンディングノートに明記しておくと、家族の相続手続きもスムーズになります。
先程もお伝えした通り、エンディングノートに遺産相続の内容を明記しても法的な効力は発揮しません。しかし基本的に、相続人は被相続人の意思を尊重して相続手続きを行うため、自分の希望を伝えることは可能です。
ただし、万が一相続人同士でトラブルにならないようにするためには、遺言書も有効です。その他にも相続トラブルを防ぐ方法があるため、詳しく知りたい方は「【相続と資産運用の最適解】これで家族間のトラブルを防ぐ!」を確認してみましょう。
葬儀・お墓について
葬儀やお墓についての希望もあれば、エンディングノートに記載しておきましょう。
密葬や家族葬など、葬儀の在り方も多様化しています。
家族の方と自身の死後について話しづらい場合は、エンディングノートで伝えることも可能です。
家族・友人へのメッセージ
家族や友人へ直接伝えるのは照れくさいという方は、エンディングノートを通じてメッセージを残しても良いです。今までの感謝や願いなどを記載すれば、相続人に想いを伝えることができます。
勉強会に参加しよう
相続に関する知識を深めておくために、勉強会に参加しておくことをおすすめします。
エンディングノートは自由に記載していいものの、誤った情報を記載してはトラブルのもとになります。知識もないままエンディングノートに「特定の人に相続する遺産を多くする」と、記載してしまうと、相続トラブルに発展する可能性があります。
法定相続人には遺留分という最低限遺産を相続できる権利があります。例えば「長男に全財産を相続させ、長女や次男には財産を渡さない」という遺言自体は有効ですが、長男以外の相続人は 遺留分侵害額請求権 を行使することができるのです。
この様に、相続に関して知識のないまま自分の希望ばかりを記載してしまうと、残された相続人同士で揉めてしまうことも多々あります。適切なエンディングノートを作成するためにも、相続の知識は必要不可欠です。
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まとめ
終活は老後と異なり、自分のためだけでなく、残された家族のためにも必要です。いつ自分の身に何が起こるかわからないからこそ、早い年齢から行っておくべきです。
終活をする際は、エンディングノートにやることなどをまとめます。しかし相続の知識がないまま希望ばかりに記入してしまうと、相続人同士のトラブルにもなりかねません。
当社では相続に関する知識を深めてもらうため、勉強会を開催しております。遺言書の作成方法やエンディングノートの作成サポート、家族間での話し合い手順など、相続の基礎を学ぶことが可能です。
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