
「最近、肌の調子がイマイチ」
「朝起きると喉がカラカラ……」
このような症状がある場合、部屋の乾燥が原因かもしれません。特に冬場は室内の湿度が低下しやすいので、乾燥した状態が続きます。
乾燥は肌のバリア機能を低下させ、外部からの刺激を受けやすくするだけでなく、風邪やインフルエンザなどのウイルスが活発になる環境を作り出してしまいます。健康のためにも良くありません。
そこで今回は「乾燥対策に有効な加湿器の使い方」について解説します。加湿器を使うにあたって知っておきたい「オススメの設置場所」や「向いていない置き場所」、「使用の際の注意点」も紹介しているので、ぜひ乾燥対策の参考にしてください。
乾燥対策には加湿器が最適
結論から言えば、乾燥対策には加湿器が最適です。水を張ったボウルやコップを置いたり、濡れタオルを干したりといったエコな方法もありますが、加湿器には敵いません。乾燥が気になった場合は、加湿器を必ず使いましょう。
室内の乾燥は、肌トラブルや健康被害を引き起こす大きな原因となります。体表面の水分が乾燥によって無くなった結果、かゆみやひび割れといったトラブルが発生する可能性があります。
喉や鼻の粘膜も乾燥するため、風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染しやすくなるのも注意したいポイントです。
しかしそうした症状も、加湿器を使用することで軽減できます。冬の乾燥した時期には最適なアイテムなのです。
空気の乾燥は乾燥肌に繋がる
空気の乾燥は乾燥肌に直結します。通常、肌の表面には外部の刺激から肌を守るバリア機能があり、適切な水分量によって維持されています。しかし、空気が乾燥すると肌の水分が奪われ、バリア機能が低下してしまうのです。
特に乾燥した環境では、肌の水分が蒸発しやすくなります。これにより肌の角質層が乾燥し、ひび割れや粉吹き、かゆみといった症状が現れます。冬になるとそうした症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
バリア機能が低下した肌は、外部からの刺激を受けやすくなります。炎症やかぶれなどのトラブルを引き起こす可能性も高くなるため、乾燥しないようにすることが大切です。
加湿しすぎは逆効果
乾燥はお肌の大敵ですが、一方で加湿のしすぎにも注意が必要です。カビやダニが繁殖しやすい環境になり、アレルギーや喘息などを引き起こす可能性があります。
例えば、室内の湿度が高すぎる状態だと、窓ガラスや壁に結露が発生しやすくなります。お風呂のカビをイメージするとわかりやすいでしょう。
結露はカビの温床となるため、カビの胞子を空気中に放出します。放出されたカビの胞子を吸い込むと、アレルギー症状が悪化したり、喘息の発作を引き起こしたりする可能性があります。
また、ダニは高温多湿の環境を好むため、加湿によってダニが繁殖しアレルギーの原因となるハウスダストも増加します。乾燥と同じく加湿にも注意が必要です。
冬に最適な室温と湿度の関係
冬の室内環境を快適に保つためには、室温と湿度のバランスが重要です。室温と湿度は互いに影響し合い、体感温度にも影響を与えています。
例えば、室温が低くても湿度が高ければ暖かく感じますし、逆に室温が高くても湿度が低ければ寒く感じます。日本より暑い地域に住んでいる海外の方が「日本の夏は暑い」と言うのは、こうした理由からです。
そのため、冬を快適に過ごすには最適な気温と湿度を知っておく必要があります。どのような気温と湿度が良いのか、詳しく見ていきましょう。
最適な室温は18℃~22℃
冬の最適な室温は18℃~22℃です。人が快適に過ごせるだけでなく、エネルギー効率も考慮した温度となっています。そのため、なるべくこの温度を維持するようにしましょう。
特に、寒いからといって室温を上げすぎるのには注意してください。外との温度差で体調を崩しやすくなりますし、電気代や灯油代の負担も大きくなります。
まずは18℃~22℃を目指し、快適に過ごせるように服装を考えると良いでしょう。
最適な湿度は50%~60%
冬を快適に過ごせるかどうかには湿度も重要です。一般的に、冬の最適な湿度は50%~60%と言われています。通常は20%~30%程度なので、加湿が必要です。
特に湿度が50%~60%になるとウイルスや細菌が活動しにくくなるため、冬だけでなく年間を通して維持するようにしましょう。
相対湿度と絶対湿度に注意
湿度を考える際には、相対湿度と絶対湿度の違いを理解することも重要です。
相対湿度は気温によって変化する湿度を指します。空気は温度が高くなるほど水分を取り込みやすくなるため、夏は湿度が高くなり、冬は湿度が低くなります。エアコンをつけると乾燥すると言われるのは、温度が上がった結果、空気が取り込める水分の量が増え、相対的に減ったような形になるためです。
結露も同様の原理で説明できます。温まった空気が窓際で冷やされた結果、取り込んでいた水分を水滴という形で吐き出してしまうのです。
相対湿度は、そうした空気の性質から湿度を計測しています。そのため数値だけ見ていると、エアコンは空気を乾燥させると勘違いしてしまうのです。
一方の絶対湿度は、1立方メートルの空気中に含まれる水蒸気の量を質量で表します。気温に関わらず、水蒸気の量を正確に把握できる数値です。病院などの施設でも使用されている数値なので、より安心したい場合は絶対湿度を参考にしましょう。
ただし、市販されている湿度計のほとんどは相対湿度計なので、数値を計測する際は絶対湿度計を購入する必要があります。
乾燥肌に適した加湿器の種類
加湿器には様々な種類があります。それぞれどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
超音波式
超音波式加湿器は、手軽に使える加湿器です。製造が簡単なため、お手軽価格で購入できるものが多くあります。
その特徴は、なんと言っても超音波振動で水を微細なミストにして放出する点です。消費電力が少なく、製品自体も安価なのでコストがかかりません。
また、コンパクトでデザイン性の高い製品が多く、アロマディフューザーとしても使えるものも多くあります。インテリアとしても活用できる点は超音波式ならではの魅力です。
ただし、加湿能力は他の方式に比べてやや低く、水に含まれる不純物も一緒に放出してしまいます。カビや雑菌も繁殖しやすいため、こまめな手入れが必要です。
スチーム式(加熱式)
スチーム式(加熱式)加湿器は、加湿能力が高い点が特徴です。水を加熱して蒸気を放出するため、短時間で効率的に加湿できます。ポットをイメージするとわかりやすいでしょう。
スチーム式は温かい蒸気を放出するため、部屋の温度を若干上げる効果もあります。ただし消費電力が大きいため、コスト面の負担が大きくなります。また、吹き出し口が熱くなるため、小さなお子様やペットがいる家庭では注意が必要です。
気化式加湿器
気化式加湿器は、自然な加湿をする点が特徴です。水を含んだフィルターに風を当てて気化させるため、消費電力がほとんどかかりません。中には電力を全く使わないタイプの気化式加湿器まであります。
ただし、水を気化させるだけなので加湿能力は高くありません。湿った状態だとカビや雑菌が繁殖しやすいため、フィルターの定期的な掃除や交換が必要です。
ハイブリッド式(加熱気化式)
ハイブリッド式(加熱気化式)加湿器は、加熱式と気化式の両方のメリットを持っている加湿器です。水を含ませたフィルターに温風を当てて、素早く気化させて加湿させる仕組みとなっています。加湿スピードが速く、省エネで運用できる点が特徴です。非常にバランスの取れた加湿器と言えます。
ただし、沸騰するほど加熱するわけではないので、カビや雑菌が繁殖してしまう可能性があります。こまめなお手入れが必要になるため、掃除しやすいタイプなのかどうかが使いやすさに直結する加湿器です。
加湿器以外で加湿する方法
部屋を加湿するなら加湿器がベストですが、それ以外でも加湿する方法があります。どのような方法か、詳しく見ていきましょう。
洗濯物や濡れタオルを室内で干す
洗濯物や濡れタオルを室内で干す方法は、最も手軽な加湿方法の1つです。エアコンと一緒に使えば、部屋を暖めながら加湿できるので、一石二鳥の方法になります。
この際できるだけ広げて干すと、より多くの水分が蒸発し、加湿効果が高まります。ただし部屋干し特有の臭いが発生する可能性があるため、注意しましょう。
お湯を沸かす
お湯を沸かすのも加湿する方法としてオススメです。湿度と一緒に室内の湿度を上げる効果もあります。お湯を沸かす際に発生する水蒸気が、室内の湿度を高めるためです。石油ストーブの上に置いたやかんをイメージするとわかりやすいでしょう。
ただし、火の取り扱いには十分注意が必要です。火事になる危険性が高いため、目を離さないようにしましょう。
霧吹きでミストを空中散布する
霧吹きでミストを空中散布する方法も、手軽に加湿をしたい場合にオススメの方法です。加湿できる範囲は狭いものの、必要な時に必要な場所を加湿できるメリットがあります。
特に乾燥が気になる時に、顔や周囲の空間にミストを吹きかけるだけも、一時的に乾燥を和らげられます。
ただし、加湿効果は限定的です。短時間しか効果がないため、こまめに行う必要があります。過度に吹きかけると逆に肌の乾燥を招く可能性もあるため、注意しましょう。
浴室のドアを開ける
入浴後に浴室のドアを開けておく方位法もあります。浴室にこもった湯気が室内に流れ込むので、加湿効果を得られます。ただし、長い時間ドアを開けっ放しにしておくと、浴室周辺の湿度が高くなりすぎる可能性があるため注意が必要です。
時間を調整しながらドアを開けると良いでしょう。
床を水拭きする
床を水拭きすることで、室内の湿度を上げるといった方法もあります。フローリング限定にはなりますが、床に付着した水分が蒸発するため、加湿効果を得られます。掃除もできるので一石二鳥の方法です。
ただし、水拭き後は床が滑りやすくなるため、注意しましょう。
石油ストーブをつける
暖房と同時に加湿効果も得られる方法として、石油ストーブを使うのもオススメです。石油の燃焼によって水蒸気が発生するため、暖房しながら加湿ができます。
特に石油ストーブは部屋全体を暖める能力が高く、輻射熱によって体の内側から暖かくなります。災害時にも強いため、持っておくと様々な場面で活躍してくれる暖房器具です。
ただし、換気を怠ると一酸化炭素中毒の危険性があります。1時間に15分程度の換気が必要になるため、部屋を閉め切ったまま使わないようにしましょう。
また、火事の危険性もあるため、近くに燃えやすいものを置かないといった対策も必要です。
加湿器を置くのにオススメの場所
加湿器には、置くべき場所があります。間違えて設定してしまうと十分に加湿できない可能性があるので、以下を参考に置き場所を考えてみてください。
部屋の真ん中
加湿器を置くのに最も適した場所は、部屋の真ん中です。蒸気が部屋全体に均等に広がりやすくなるため、効率的に加湿できます。
部屋の広さや形状によっては必ずしも部屋の真ん中が最適とは限りませんが、基本的には部屋の中心に近い場所に置くようにしましょう。
ただし、スペースやインテリアの関係上、難しい場合もあります。その場合はなるべく部屋の真ん中あたりを意識して設置してください。
デスクの上
卓上タイプの加湿器を使う場合は、デスクの上がオススメです。デスク周りの乾燥を防げます。特にパソコン作業などで長時間デスクにいる場合は、置くだけで大きな効果があります。
ただし、パソコンなどの精密機器は水が弱点です。直接蒸気が当たらないように、適切な距離を保つようにしましょう。
ベッド横のサイドテーブル
寝る時に加湿器を使う場合は、ベッド横のサイドテーブルがオススメです。就寝中の乾燥を防げます。
特に就寝中は長時間同じ場所にいるため、周囲の湿度を保てるかどうかが快適な睡眠環境に直結します。例えば、起きた時に口が乾燥している方は、近くに加湿器を置くだけでも大きく変わるでしょう。
なお、直接水蒸気がかかる場所に置くと体にとって良くないため、水蒸気がかからない距離に置くようにしてください。
加湿器を置くのに向いていない場所
加湿器を置くのに向いていない場所もあります。以下で紹介する場所に置いている方はすぐに動かしましょう。
床の上
加湿器は床の上に置いてはいけません。暖かい空気は上へ行き、冷たい空気は下へ行く性質があるため、加湿器が下にあると冷たい空気の中に水蒸気が吹き出されてしまうためです。結果、空気が水蒸気を取り込めず、床がびちゃびちゃに濡れてしまいます。
さらに、カビの発生を招いたり、床のホコリや汚れを吸い込んでしまったりする可能性もあります。
デメリットばかりなので、床の上には加湿器を置かないようにしましょう。
家電や書類の近く
家電や書類の近くにも加湿器を置かないようにしましょう。故障や劣化の原因になります。特にパソコンやスマホなどの精密機器の近くに置くのは厳禁です。
基本的に、家電や書類は水に弱いという性質があります。デスクワークやリモートワークの方はなるべく離して加湿器を使う用にしましょう。
窓際や壁際
窓際や壁際に加湿器を置くこともNGです。結露の原因となる可能性があります。
窓や壁は外気の影響を受けやすく温度が低いため、蒸気が結露しやすい状態になっています。特にアルミサッシの窓を使っている方は要注意です。せっかく加湿してもすぐに結露してしまうため、効果がほとんどありません。
結露が続くとカビや雑菌の温床になり、健康にも影響が出ます。デメリットばかりなので、加湿器は窓や壁から離して使いましょう。
直接エアコンの風が当たる場所
直接エアコンの風が当たる場所に加湿器を置くのもNGです。水蒸気が風に乗って巡回しそうな気がしますが、かえって加湿効果が低下する可能性があります。
特に温度や湿度センサーが搭載されている加湿器の場合、エアコンの温風によって誤作動を起こしてしまうため注意が必要です。
ドアや換気扇の近く
ドアや換気扇の近くに加湿器を置くのも止めておきましょう。加湿効果が低下する可能性があります。
特にドアは、部屋の中でも空気の出入りが大きい場所です。開閉や換気によって、蒸気が室外に逃げてしまう可能性があります。
加湿の効果が低くなるため、空気の流れが少ない場所に設置するようにしましょう。
加湿器を使う際に知っておきたい注意点
加湿器を使う際は、知っておきたい注意点があります。ここから紹介するものは知らないとついやってしまうものばかりなので、気を付けましょう。
水蒸気を肌に直接当てない
乾燥しているからといって、水蒸気を肌に直接当てるのはやめておきましょう。肌の乾燥を招く可能性があります。
水蒸気が当たると肌が潤うようにも感じられますが、実際は逆で、水蒸気が蒸発する際に肌の水分も一緒に奪っていってしまいます。結果、より乾燥してしまうのです。
そのため、加湿器の吹き出し口から出る蒸気は体が少し放し、肌に直接当たらないようにしましょう。
寝ている間は加湿器を止める
寝ている間はなるべく加湿器を止めるようにしてください。就寝中は室内の湿度が高くなりやすいため、過剰な加湿になる可能性があります。タイマー機能などを活用し、就寝前に加湿器が停止するようにしましょう。
ただし、熱交換器装置を備えている第一種換気や全館空調システムを採用している場合は、常に温度が一定なので付けっ放しでもほとんど問題ありません。
今住んでいる住宅に合わせて、適切な方法を選びましょう。
ミネラルウォーターを使わない
加湿器にミネラルウォーターを使用するのもNGです。清潔な水の方が良いと考えてしまいがちですが、水道水の方が塩素処理をされているため雑菌が繁殖せず、安心して使えます。
同様に、浄水器の水やアルカリイオン水、井戸水なども使わないようにしましょう。
また、ミネラルウォーターに含まれるミネラル成分が、加湿器の故障や白い粉の発生の原因となる可能性もあります。
基本的に加湿器には水道水のみを使うようにしましょう。
加湿器を正しく使って乾燥対策を万全にしよう
加湿器を使っての加湿は、冬の乾燥対策として最適な方法です。肌の健康だけでなく、風邪やインフルエンザなどの感染症予防にも効果的なため、なるべく加湿をして50%~60%のベストな湿度を保つようにしましょう。
加湿器は置く場所によって効果が大きく変わります。今回紹介した置き場所を参考に、冬の乾燥を乗り切ってくださいね。