初めての不動産購入はわからないことがたくさん。
大きなお金のやりとりをする不動産購入では、失敗したくないと考えるのは当然ですよね。
でも実際は、
「不動産を購入する時ってどのような流れで進むの?」
「どんな物件を選んだらいい?」
「何にどれくらいのお金がかかるの?」
このような疑問や悩みを持っているという方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、初めて不動産を購入しようと思っている方に向けて、買う前に知っておきたい全体の流れや注意点、不動産購入時にかかる諸費用や税金などについて詳しく解説していきます。
不動産の販売形態とは
不動産の販売形態には大きく分けて2つの種類があります。
それが、売主物件と仲介物件です。
それぞれの販売形態にはどのような違いがあるのか見ていきましょう。
売主物件
仲介業者を挟まず、物件の売主から直接購入するのが売主物件。
個人間でやりとりすることはほぼなく、売主は不動産会社であることが多いです。
売主物件の購入には、仲介手数料がかからず、スピーディーに購入を進められるといったメリットがあります。
仲介物件
仲介物件とは、売主と買主の間に仲介業者を挟む販売形態のことです。
不動産会社が仲介してくれるので、金融機関との手続きや契約関係などのサポートが手厚く、価格交渉などをおこなってくれる場合もあります。
ただし、仲介物件の場合、仲介手数料がかかる点を覚えておきましょう。
不動産購入の流れ
不動産を購入する流れは以下の通りです。
①希望条件を洗い出す
②物件を探す
③資金計画を立てる
④購入の申し込みをする
⑤住宅ローンの事前審査を受ける
⑥契約内容を確認し契約をする
⑦住宅ローンを契約する
⑧引き渡し
それぞれの流れについて詳しく解説していきます。
①希望条件を洗い出す
不動産を購入しようと思ったら、まずは希望条件を洗い出してみましょう。
・戸建住宅かマンションか
・どのような立地がいいか
・間取りの希望はあるか
・予算はどれくらいか
・築年数のこだわりはあるか
上記のような項目をそれぞれ検討し、条件に優先順位をつけていきます。
この段階でできるだけ具体的に希望条件を出しておくと、この後の流れがスムーズに進むでしょう。
②物件を探す
希望条件が出そろったら、次は実際に購入する物件を探します。
物件選びは、インターネットで検索する方法や不動産会社に足を運ぶ方法などがあります。
希望する条件と照らし合わせながら、理想の物件を探しましょう。
この時に、気になる物件が見つかったら、必ず現地に足を運び、自分の目で物件を確認しましょう。
写真や間取り図だけでは、物件の全体像は見えづらいもの。本当に希望条件に合致しているかどうかを自分の目で見て確認しましょう。
③資金計画を立てる
購入する物件が決まったら、次は資金計画を立てましょう。
資金計画とは、物件を購入するためにどのようにして資金を調達し、支払いを進めていくかの計画を立てることです。
将来的な収支のバランスを考慮して、無理のない予算設定と返済計画を立てることが大切です。
何にいくらかかって、どの程度の頭金が用意できるのかや、利用するローンはどれにするのかなど、具体的に決めていきましょう。
④購入の申し込みをする
資金計画を立てたら、物件の購入申し込みをしましょう。
不動産会社に対して不動産購入申込書を提出します。
ただし、この申込書は売買契約ではなく、あくまで売主に対して「購入したい」という意思を示すものです。
正式な売買契約を結ぶわけではないので、申込書を提出した後でも購入のキャンセルが可能です。
⑤住宅ローンの事前審査を受ける
購入の申し込みをしたら、次は住宅ローンの事前審査を受けます。
住宅ローンの事前審査とは、正式なローンを申請する前に申請者の信用情報や返済能力について簡易的な審査をおこなうことです。
事前審査をすることで、購入の契約をする前に住宅ローンを組めるのかや、借入可能金額の確認などができます。
本人確認書類や収入証明書類などを提出する必要があるので、事前に必要なものを確認し、準備しておきましょう。
⑥契約内容を確認し契約をする
不動産会社に所属している宅地建物取引士から、契約内容についての重要事項説明を受けます。
不動産会社からの説明を全て鵜呑みにするのではなく、契約書を自分でしっかりと読んで確認することも大切です。
登記事項証明や不動産購入にかかる法律などについて確認し、問題がなければ契約に進みます。
この契約を結ぶタイミングで手付金を支払い、売買契約が成立します。
⑦住宅ローンを契約する
売買契約を結んだら、次は住宅ローンの契約です。
このタイミングで本審査をおこないます。本審査には1〜2週間程度の期間がかかることを頭に入れておきましょう。
住宅ローンの本審査では、申請者の健康状態や年齢、勤続年数、物件の担保評価などが確認されます。
住宅ローンの本審査では、本人確認書類や収入証明書、物件確認書類、他ローンに関する書類などが必要です。事前に必要書類を確認し、漏れがないように準備しておきましょう。
⑧引き渡し
住宅ローンの契約が完了したら、いよいよ物件の引き渡しです。
物件の引き渡しでは、司法書士による所有権移転登記や所有権保存登記などの手続きがおこなわれます。
これらの登記手続きが完了すると、所有権が購入者に渡ることになります。
不動産購入の際に押さえておきたい注意点
初めての不動産購入だと、わからないことも多いもの。
不動産購入の際に押さえておきたい注意点を紹介します。
・内見に複数回行く
・ハザードマップを確認する
・建物の耐震性を確認する
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
内見に複数回行く
物件選びの段階で、気になる物件を見つけたら必ず複数回内見に行きましょう。
昼間と夜では周辺の雰囲気が違ったり、天候による物件への問題があったりといった可能性があるからです。
なるべく異なる条件で複数回物件を見ることで、1回ではわからない問題がわかることがあります。
一生に一度の大きな買い物である不動産。慎重になるに越したことはありません。
ハザードマップを確認する
購入する物件がある地域のハザードマップも事前に確認しておきましょう。
自然災害が発生した時に危険がある箇所を示した地図で、物件が建っている場所に危険がないかを確認します。
ハザードマップは、市区町村の窓口やポータルサイトなどで確認できます。
せっかく素敵な物件を購入しても、浸水などの被害に遭ってしまってはどうしようもありません。
できるだけ安全な土地に建っている物件を購入できるといいですね。
建物の耐震性を確認する
ハザードマップで問題がなくても、建物自体の耐震性に不安がある場合があります。
特に中古物件を購入する場合には注意が必要です。
1981年6月以前に建てられた住宅は、古い耐震基準に沿って作られているため、耐震性能が現在の基準を満たしていません。
地震大国日本では、いつどこで大きな地震がくるかわかりません。そのため、購入しようとしている物件がいつ建てられたのかや、どの程度の耐震性能があるのかなどについて、必ず購入前に確認しておきましょう。
不動産購入で発生する諸費用とは
不動産購入時の流れや注意点などを理解したところで、次に気になるのがその費用ではないでしょうか。
不動産の購入には、建物や土地の費用の他に諸費用が発生します。
主な諸費用の種類は以下の通りです。
・仲介手数料
・住宅ローン手数料
・登記費用
・手付金
・修繕積立金(マンションの場合のみ)
ひとつずつ詳しく解説していきます。
仲介手数料
売主と買主の間を不動産会社が仲介したときに、不動産会社に支払われるお金を仲介手数料と言います。
不動産会社は、売主と買主の間に立ち、価格など諸条件の調整や契約事務をおこないます。
仲介手数料は、取引が成立して初めて発生する成功報酬なので、物件の購入を依頼しても、最終的に売買契約が成立しなかった場合、支払う必要はありません。
仲介手数料は、宅地建物取引業法という法律によってその上限が定められています。
宅地建物取引業法で定められている仲介手数料の上限は以下の表の通りです。
取引額 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 取引額の5%以内 |
200万円〜400万円以下 | 取引額の4%以内 |
400万円以上 | 取引額の3%以内 |
取引額が高額になりがちな不動産の購入。仲介手数料もそれなりの金額になります。
売買契約が成立したら、仲介手数料を支払わなければならない点を頭に入れて資金計画を立てるようにしましょう。
住宅ローン手数料
住宅ローンを利用するためには、金融機関が定めたローン手数料を支払う必要があります。
融資手数料や保証会社手数料、ローン保証手数料、団体信用保険手数料などが主な内訳です。
住宅ローンを組むためにもいくつかの手数料が必要であることを覚えておきましょう。
登記費用
新たに不動産を購入すると、所有権保存登記や所有権移転登記などの登記手続きが必要です。
これらの登記手続きにはそれぞれ費用が発生し、買主が支払わなければなりません。
登記費用の主な内訳は、司法書士や土地家屋調査士に代行してもらうための依頼料や登録手続きの登録免許税です。
もし、司法書士や土地家屋調査士に依頼せず、登記を自身でおこなった場合には、依頼料は必要ありません。
手付金
手付金とは、売買契約時に売主に対して買主が支払うお金です。物件価格の5〜10%程度が相場と言われています。
正式な契約がおこなわれると、手付金は返金されるか物件の購入代金の一部に充てられます。
買主の都合によりキャンセルする場合、手付金はキャンセル料となり返金されることはありません。一方で、売主の都合によりキャンセルされる場合には、手付金の倍額が買主に返金されます。
修繕積立金(マンションの場合のみ)
マンションなどの集合住宅を購入する場合、修繕積立金が必要です。
修繕積立金とは、建物の改修などに使われるお金のこと。物件の購入時だけでなく、住み続けている間は毎月支払わなければならないお金です。
マンションの規模や築年数などによって支払う金額は変わります。購入前に毎月どのくらいの修繕積立金が必要なのかを確認しておくといいでしょう。
不動産購入にかかる税金とは
不動産購入時には、諸費用のほかに税金を支払わなければなりません。
不動産購入にかかる主な税金は以下の通りです。
・印紙税
・登録免許税
・不動産取得税
・消費税
ひとつずつ詳しく解説していきます。
印紙税
印紙税とは、不動産の売買契約やローンの契約、建築請負契約などの際に作成する契約書1通1通に課される税金のこと。
契約書に記載された金額によって支払わなければならない印紙税の額が変わってきます。
取引金額が大きくなればなるほど、印紙税も高くなります。
また、印紙を貼り忘れてしまうと、納付すべき額の3倍近くの過怠税を支払わなければならなくなるので注意しましょう。
登録免許税
登記の際に必要なのが登録免許税。
登記とは、法務局の登記簿に土地や建物の所有権を記録するために必要な手続きのことです。
支払う税金の金額は、土地や建物の評価額に税率をかけて計算します。
登録免許税は、住宅ローンを借りる際にも課税されます。これは、金融機関が土地や建物に抵当権を設定するという登記が必要になるためです。
不動産取得税
新たに不動産を取得すると、不動産取得税の支払いが必要になります。
地方税のため納付先はそれぞれの物件がある都道府県です。自治体から納税通知書が送付され、記載されている金額を納税します。
消費税
不動産の売買にも、消費税が課税されます。
ただし、土地については非課税のため、消費税はかかりません。建物に対してかかる消費税は支払う必要があります。
仲介手数料や司法書士への報酬などについても課税対象となるので、これらにかかる消費税についても覚えておきましょう。
まとめ
初めての不動産購入は、多くの方がわからないことだらけで不安になってしまうものの。
どのような流れで進めて行けばいいのかをしっかりと確認し、後悔のない不動産購入を実現しましょう。
また、不動産の購入には物件の価格の他にもさまざまな費用がかかることも。諸費用や税金については「知らなかった」では済まされません。事前に、何にどれくらいのお金がかかるのかという知識を身につけたうえで、最適な資金計画を立てるようにしましょう。