建売住宅を購入する際は、初期費用だけでなく、将来的な維持費を考慮することが大切。
建売住宅にかかる維持費は、生活を送るうえで必要不可欠な費用です。
維持費と一言で言っても、その種類や金額はさまざまです。建売住宅の維持費として何にどれだけの金額がかかるのかを知っておくことで、計画的な予算管理ができるようになるでしょう。
そこで今回は、建売住宅の種類と金額、マンションとの比較、そして維持費を節約するためのポイントについて詳しく解説していきます。
建売住宅に必要な維持費の種類と金額
建売住宅やマンションなど不動産を所有すると必要になる維持費として挙げられるのは、以下の4つです。
・税金
・メンテナンス費用
・保険料
・その他の費用
ひとつずつ順番に解説していきます。
税金
建売住宅を所有すると、避けて通ることができないのが税金の支払いです。
主に固定資産税と都市計画税を納める必要があります。
【固定資産税】
固定資産税とは、土地と建物に対して毎年課される税金です。不動産の評価額に基づいて選定された金額を納税します。
この評価額は、土地や建物、市町村などの要素によって異なります。
一般的には、年間で数十万円程度が見込まれます。
【都市計画税】
都市計画区域内にある建売住宅を購入した場合に必要なのが、都市計画税。
都市計画区域内に所在する土地や建物に対して課される税金です。固定資産税と同様に、評価額に基づいて計算された金額を納税します。
メンテナンス費用
建売住宅の維持費の中でも大きな割合を占めているのが、メンテナンス費用です。
定期的なメンテナンスをおこなうことで、住宅の寿命を延ばし、資産価値を維持することにもつながります。
外壁や屋根の劣化によって、雨水などが外壁や屋根の内部に入り込むことで住宅自体の寿命を縮めたり、高額な修繕費用がかかったりといった原因になります。定期的なメンテナンスは欠かすことのできない重要なものです。
【外壁】
住宅の外壁は、約10〜15年ごとに塗装をおこなう必要があります。
塗装の種類や面積によっても変わってくるものの、費用は100〜200万円程度が一般的でしょう。
早めのメンテナンスをおこなうことで、外壁の劣化を防ぎ、長期間美しい外観を保つことができます。
【屋根】
住宅にとって、屋根の修繕も重要です。約20〜30年ごとに修繕が必要で、費用は50〜100万円程度かかります。
屋根の状態を定期的にチェックし、必要に応じて修繕をおこなうことで、大きな修理費用を支払わなくて済むでしょう。
【その他の修繕】
給湯器やエアコンなどの設備も定期的な交換が必要。これらの費用は数万円から数十万円程度であり、使用頻度や機器の寿命によっても変わってきます。
特に、キッチンやシステムバスなどの交換は100万円近い費用がかかるケースが多いため、計画的な交換が大切です。
保険料
住宅を守るためには、火災保険や地震保険への加入が必要です。
万が一の災害に備えることができます。
【火災保険】
火災保険は、火災や風災、水害などの被害に備えるための保険です。
保険料は、物件の所在地や構造、保証内容によって異なりますが、年間で数万円であることが多いです。
【地震保険】
地震保険は地震による被害をカバーする保険。
火災保険とセットで加入することが多く、保険料は地域や建物の構造によって異なりますが、年間数万円程度が一般的です。
その他の費用
上記以外にも、自治会費や町内会費などのように、地域ごとにかかる費用があることも。
場所によっては、道路の使用料金などが必要なこともあります。
毎月固定でどの程度の費用がかかるのかは、事前にシミュレーションしておくといいでしょう。
建売住宅とマンションの維持費の違い
建売住宅かマンションかで悩んでいるという方も少なくないでしょう。
建売住宅とマンションとでは、かかってくる維持費に違いがあります。
それぞれの特徴を理解することで、どちらが自分たち家族に合った住まいかを判断する材料になるでしょう。
建売住宅の維持費の特徴
建売住宅の維持費は、主に住宅設備の個別のメンテナンスや修繕、税金、保険料などです。
自分で所有している土地と建物を管理するため、自由度が高い一方で、全ての費用を自分で負担しなければなりません。
そのため、計画的な資金管理が必要です。定期的なメンテナンス費用や突発的な修繕費用などを見込んで、余裕のある計画を立てるようにしましょう。
マンションの維持費の特徴
マンションの維持費には、共用部分の管理費や修繕積立金が含まれます。
共用部分の管理は、管理組合がおこなうため、個別の負担は少ないですが、毎月一定の費用が発生します。
マンションの維持費は、毎月の固定費として計算がしやすい反面、自由度は建売住宅に比べて低くなります。
【共用部分の管理】
マンションでは、エレベーターや廊下、外壁などの共用部分の維持管理は管理組合がおこないます。これにより、居住者が個別にメンテナンスをおこなう手間が省けます。
【修繕積立金】
将来的な大規模修繕に備えて、毎月修繕費用を積み立てる必要があります。
築年数とともに修繕箇所も増えてしまうため、築10年ほどを境に、徐々にその金額も上がっていきます。
なお、住宅設備の個別のメンテナンスや修繕費用、不動産取得税などの税金、保険料などに関しては、マンションであっても戸建住宅同様に必要となります。
建売住宅のメンテナンス費用を節約するポイント
建売住宅のメンテナンス費用は、数万円から数十万円ほどかかるため、できるだけ節約したいもの。
建売住宅のメンテナンス費用を節約するポイントは以下の3つです。
・こまめなメンテナンスをする
・火災保険を見直す
・アフターサービスが手厚いハウスメーカーを選ぶ
それぞれ詳しく確認していきましょう。
こまめなメンテナンスをする
建売住宅のメンテナンス費用を節約するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
小さな修繕を怠ると、大きな修繕費用がかかってしまう可能性があります。
【外壁のひび割れチェック】
外壁のひび割れを早期に発見し、補修することで、大規模な修繕を防ぐことができます。
ひび割れは、雨水などの侵入を防ぐために重要なため、早期の対応が重要です。
【屋根の点検】
屋根は常に雨や風にさらされているため、劣化が進みやすい箇所です。
定期的に専門業者に点検を依頼し、必要に応じて修繕をおこなうことで、長期間にわたってメンテナンス費用を抑えることができます。
火災保険料を見直す
火災保険や地震保険の保険料は、定期的に見直すことで節約できる場合があります。
複数の保険会社で見積もりを比較し、適切な保証内容で最適な保険料を選びましょう。
【保険会社の比較】
保険料は会社ごとに異なるため、複数の見積もりを取得し、比較検討するといいでしょう。
また、同じ保証内容でも、特約やオプションなどによって、料金が変わることもあります。
【保証内容の見直し】
過剰な補償を避け、必要な補償のみを選択することで、保険料を抑えられる可能性があります。
例えば、耐震性能の高い住宅の場合や耐震補強をおこなうことで、地震保険の保険料が割引されることもあります。
アフターサービスが手厚いハウスメーカーを選ぶ
建売住宅を購入する際には、アフターサービスが充実しているハウスメーカーを選ぶことも重要です。
手厚いアフターサービスがあると、無料で点検や修理を受けることができ、長期的な維持費を抑えることにもつながります。
建売住宅を購入する際には、購入しようとしている住宅を建てたのは、どこのハウスメーカーなのかを確認しましょう。そのうえで、そのハウスメーカーが提供している補償内容をしっかりと確認し、長期間にわたって安心できるサポートを受けられるかどうか判断しましょう。
実績が豊富で評判のいいハウスメーカーを選ぶことで、安心して住宅の維持管理を任せることができます。
専門家に依頼すべきメンテナンスとそのタイミング
建売住宅の維持管理において、メンテナンスはと非常に重要。
自分で点検や修繕ができないものも多いため、専門家に依頼して適切に対応してもらう必要があります。
屋根の点検と修繕
屋根は、雨風や紫外線に常にさらされ、劣化が進みやすい部分。定期的なメンテナンスと修繕が必要です。
屋根は高所にあり、自分で点検や修繕をおこなうのはとても危険です。専門家に依頼することで、安全で確実な点検と修繕がおこなえます。
また、専門家は素人には判断できない劣化の兆候を見極めることができ、早期に対処することができます。
【点検】
屋根の点検は5年に一度の頻度でおこなうのがベスト。専門家に点検してもらい、破損や劣化がないか確認してもらいましょう。
【修繕】
修繕が必要な時期は、屋根材の種類などによりますが、一般的には10〜20年に一度のペースで大規模な修繕が必要であると言われています。
外壁の点検と塗装
外壁も屋根と同様に雨風にさらされ、定期的なメンテナンスが欠かせない箇所です。
外壁の塗装は、適切な下地処理や塗料の選定が重要。専門家に依頼することで、長期間にわたって効果が持続する塗装がおこなえるでしょう。
また、外壁のひび割れや剥離は、専門家でなければ見落としてしまう可能性があります。
【点検】
外壁は5年に一度の頻度で専門家による点検をおこない、ひび割れや剥離している箇所がないかを確認してもらいましょう。
【塗装】
外壁の塗装は10〜15年に一度ほどの頻度で塗り替えをおこないます。
給排水設備の点検とメンテナンス
給排水設備は、日常的に使用する箇所であるため、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
給排水設備の点検やメンテナンスには、専門知識と技術が必要。点検、メンテナンスの際には専門家に依頼をしましょう。
漏水や詰まりなどを放置していると、大きな修繕費用が発生してしまう可能性があります。専門家に相談し、できるだけ早く問題を発見・対処してもらいましょう。
【点検】
給排水設備は年に一度ほどの頻度で点検をおこない、漏水や詰まりが発生していないか確認しましょう。
【メンテナンス】
10〜15年に一度ほどの頻度で給湯器などの交換が必要です。
電気設備の点検とメンテナンス
電気設備の故障は、火災の原因となるため、定期的な点検やメンテナンスを怠ると大変なことになってしまう可能性があります。
電気設備の点検やメンテナンスには、高い専門知識と技術が必要。自分でおこなうのは危険なため、必ず専門家に依頼しましょう。
シロアリ対策
シロアリは、木造住宅にとって大きな脅威。定期的な点検と防除が重要です。
シロアリの被害は、見た目ではわかりにくく、専門家による詳細な点検が必要です。
シロアリから家を守るために、5年に一度ほどの頻度で、専門家による点検をおこなってもらいましょう。
シロアリ被害が確認された場合、早急に専門家による防除をおこなう必要があります。
まとめ
建売住宅の維持費には、税金やメンテナンス費用、保険料などが必要です。
それぞれの費用がなぜ必要なのかや、おおよその金額を理解し、計画的に予算管理をすることで、無駄な出費を抑えることができます。
また、こまめなメンテナンスや保険料の見直しなどのポイントを押さえることで、建売住宅の維持費を抑えることができるでしょう。
今回ご紹介したことを活かして、より快適で経済的な住まいを実現してくださいね。