マイホームを購入する際、誰もが費用を抑えて理想の住まいを手に入れたいと思いますよね。
人生で最も高額な買い物と言われる、マイホームの購入。特に子育て世帯にとってその負担は大きなものです。
そこで今回は、子育て世帯が使える「子育てエコホーム支援事業」の適用条件や補助金額などについて詳しく解説していきます。
また、その他にも使える補助金がいくつかあるので、最後にそちらもあわせて解説しています。
これからマイホームの購入に向けて資金計画をはじめる方や、予算オーバーで購入を諦めかけている方など、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
子育てエコホーム支援事業とは?
エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすいとされる、子育て世帯や若者世帯による、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することを目的とした事業を「子育てエコホーム支援事業」といいます。
この事業によって、子育て世帯・若者世帯等による省エネ投資の下支えをおこない、2050年のカーボン・ニュートラル実現を図ることを目的としています。
子育てエコホーム支援事業の詳細
子育てエコホーム支援事業の具体的な内容を、以下の項目に分けて解説していきます。
・対象者
・適用条件
・補助金額
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
対象者
子育てエコホーム支援事業の対象者は、注文住宅の新築か新築分譲住宅の購入かによって変わります。
それぞれ紹介します。
【注文住宅の新築の場合】
住宅取得者となる子育て世帯(※1)または若者夫婦世帯(※2)が、自ら居住することを目的に新たに発注(工事請負契約※3)する住宅の建築。
※1 子育て世帯とは、申請時点において子(令和5年4月1日時点で18歳未満)を有する世帯
※2 若者夫婦世帯とは、申請時点において夫婦である世帯。若者夫婦とは、令和5年4月1日時点でいずれかが39歳以下の世帯
※3 工事請負契約が結ばれない工事は対象外
補助金を受ける場合には、エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結する必要があります。エコホーム支援事業者とは、補助金の交付申請を代行し、交付された補助金を購入者に還元するという登録済みの住宅事業者のことです。
【新築分譲住宅の購入の場合】
住宅取得者となる子育て世帯または若者夫婦世帯が、自ら居住することを目的に購入(売買契約※4)する新築住宅(※5)の購入。
※4 宅地建物取引業の免許を有する事業者からの購入に限る
※5 売買契約締結時点において完成(完了検査済証の発出日)から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
適用条件
対象となる住宅の条件についても、注文住宅の新築と新築分譲住宅の場合で若干異なります。
それぞれ解説します。
【注文住宅の新築の場合】
注文住宅の新築の場合、長期優良住宅またはZEH水準住宅に該当していることを証明することが条件です。加えて、以下のような条件も満たしている必要があります。
・所有者本人が居住すること
・床面積が50〜240㎡であること
・土砂災害特別警戒区域もしくは災害危険区域に該当していないこと
・都市再生特別措置法第88条第5項の規定による勧告に従わなかったことが公表されていないこと
・交付申請時に一定の工事を完了していること
【新築分譲住宅の購入の場合】
新築分譲住宅の購入の場合、注文住宅の新築の場合と同じく、長期優良住宅またはZEH水準住宅に該当していることが大前提となります。それに加えて以下の条件を満たしている必要があります。
・所有者本人が居住すること
・床面積が50〜240㎡であること
・土砂災害特別警戒区域もしうは災害危険区域に該当していないこと
・都市再生特別措置法第88条第5項の規定による勧告に従わなかったことが公表されていないこと
・売買契約の締結時点で完成していないこともしくは完成から1年以内で誰も住んだことがない住宅であること
・交付申請時に一定基準の工事を完了していること
補助金額
子育てエコホーム支援事業の補助金の額は、以下のように住宅の種類によって変わってくるので注意が必要です。
住宅の種類 | 一戸あたりの補助金額 |
長期優良住宅 | 最大100万円 |
ZEH水準住宅 | 最大80万円 |
上記のように、最大で100万円の補助金を受け取れる子育てエコホーム支援事業ですが、市街化調整区域かつ特定の災害のリスクが高い区域に位置する住宅については、原則としてそれぞれ補助金額が1/2となります。
立地上の制約等によって建て替えをおこなう場合では、この限りではありません。立地の制約がある場合、以下の条件を満たすことで満額受け取れる可能性があります。
・従前の建物と同じ住所に建てること
・新築住宅として建築すること
・建て替え前後で所有者が変わらないもしくは解体工事と新築工事の発注者が同一であること
子育てエコホーム支援事業の申請
子育てエコホーム支援事業の申し込み申請は、購入者自らがおこなう必要はなく、エコホーム支援事業者がおこないます。
子育てエコホーム支援事業の申請をおこなうには、申請時点で基礎工事が完了していることと、補助金額以上の出来高の工事が完了している必要があります。
また、申請期限が2024年12月31日となっているうえ、予算に達し次第終了となる点に注意が必要です。
子育てエコホーム支援事業の注意点
最大で100万円の補助金を受けられる子育てエコホーム支援事業ですが、利用する際には以下のようにいくつかの注意点があることを頭に入れておきましょう。
・他の補助金とは併用できない可能性がある
・申請手続きに手数料がかかることがある
・二世帯住宅の親世帯は対象外になる可能性が高い
・予算の都合で早期に終了する可能性がある
・財産処分の制限がある
ひとつずつ詳しく解説していきます。
他の補助金とは併用できない可能性がある
補助金を利用する際、できるだけ多くの金額を補助してもらいたいと考えるのは当然のこと。他の補助金と併用できないかと考える方は少なくないでしょう。
子育てエコホーム支援事業に限らず、複数の補助金を併用することが難しいケースは少なくありません。
国の事業である補助金と、市町村の事業である補助金のように、異なる行政レベルで陰影されている補助金の場合、併用できる可能性はあります。
併用ができる補助金とそうでない補助金については、事前にしっかりとリサーチしておく必要があるでしょう。
併用ができない複数の補助金を申請してしまうことで、最終的に補助金を受け取ることができなくなってしまうということにもなりかねません。
申請手続きに手数料がかかることがある
補助金の申請をして、100万円や80万円など全額の支給が決定された場合でも、購入者がその全額を受け取ることが難しいことも。
補助金を受け取るための手数料として、事業者に支払わなければならないことが多いためです。
補助金を申請する前に、補助金の申請に必要な諸費用や手数料がどの程度かかるかを確認し、受け取れる可能性のある補助金額とのバランスを検討したうえで、本当に申請をするかどうかを判断しましょう。
二世帯住宅の親世帯は対象外になる可能性が高い
子育てエコホーム支援事業は、住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置塔における戸数の規定にしたがって、戸数を数えます。
二世帯住宅で親世帯と子世帯それぞれが連名で工事請負契約を結び、2戸分の保険に加入する場合には、それぞれの2世帯分の申請が可能です。
ただし大前提として、子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯もしくは若者夫婦世帯に対して補助金を支給する事業です。そのため、多くの二世帯住宅の親世帯は補助金自体の条件を満たすことができないと言わざるを得ないでしょう。
そのため、二世帯住宅であっても、子世帯のみの申請であるケースが一般的です。
予算の都合で早期に終了する可能性がある
子育てエコホーム支援事業の申請締め切りは、2024年12月31日ですが、申込みが多く予算の上限に達してしまうと、早期に受付が終了してしまう可能性がある点に注意が必要です。
過去に実施された補助金では、12月31日が締め切りであっても、9月末頃に予算の上限に達したことで、早期に受付を終了した事例もあります。
子育てエコホーム支援事業でも、早期の受付終了が予想されているため、申請を検討しているのであれば、早めの申請をおすすめします。
財産処分の制限がある
補助金を受けて購入または新築した住宅は、一定期間の財産処分の制限が設定されることがあります。
財産処分の制限とは、補助金を受けて購入または新築、リフォームをした住宅を、補助金の目的に反して「すぐに」売却しないようにするための措置のこと。
補助金を受けてすぐに、その目的に反して売却してしまった場合、受け取った補助金を変換しなければならなくなる可能性があります。
もし、購入やリフォーム後すぐに売却をしなければならない事情がある場合には、事前に財産処分の制限等に関する条件を確認しておきましょう。
他にもある!マイホームを購入するときに使える補助金
マイホームを購入する際に活用できる補助金には、子育てエコホーム支援事業以外にもたくさんあります。
ここからは、他にも活用できる可能性のある以下の補助金について解説します。
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金
・自治体ごとの補助金・助成金
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム済みの中古住宅を購入する場合、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を受け取れる可能性があります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金額は以下のとおりです。
住宅の種類 | 一戸あたりの補助金額 |
長期優良住宅型 | 最大160万円 |
長期優良住宅認定を取得していないが、一定の耐震耐久や省エネルギー性能の向上が認められる住宅 | 最大80万円 |
さらに、以下の条件のうち1つでも該当していれば、上記の補助金額に50万円が加算されます。
・三世代同居対応改修工事
・若者・子育て世帯による改修工事
・既存住宅を購入して改修工事をおこなう
新築分譲住宅の購入や注文住宅の建築では申請できませんが、中古住宅を購入してリフォームするケースや、すでに長期優良住宅化リフォームが完了している物件を購入するケースでは申請できる可能性がある補助金事業です。
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金
ZEHとは、「net Zero Energy House」の略称。
住宅で消費するエネルギーの消費量を抑制しつつ、太陽光発電などを活用することで結果的に住宅のエネルギー消費量の収支がゼロ以下になることを目指す住宅のことです。
このZEH住宅の購入を検討しているのであれば、ZEH補助金について必ず確認しておきましょう。
ZEH補助金の補助金額は以下のとおりです。
住宅の種類 | 一戸あたりの補助金額 |
・ZEH・Nearly ZEH・ZEH Oriented | 定額55万円 |
・ZEH+・Nearly ZEH+ | 定額100万円 |
上記の補助金額に加えて、蓄電システムや地中熱ヒートポンプシステムなどを導入したり、ハイグレード仕様にしたりといった場合には、追加補助が加算されます。
環境にも家計にも優しいZEH住宅を検討しているのであれば、ZEH補助金を申請してみてはいかがでしょうか。
自治体ごとの補助金・助成金
国がおこなっている補助金事業のほかに、各自治体ごとに独自の補助金・助成金制度をおこなっていることも少なくありません。
これらの補助金は、国の補助金制度と併用できるケースも多いため、お住まいの自治体の補助金・助成金制度について、市町村ごとのホームページなどで確認してみるといいでしょう。
まとめ
「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世帯や若者世帯が省エネ性能の高い新築住宅を取得する際に受け取れる補助金制度です。
最大で100万円の補助金を受け取ることができるこの制度ですが、申請条件や注意点がいくつかあります。
他の補助金との併用が難しい場合があることや、申請手続きに手数料が発生する可能性がある点に注意が必要です。また、予算の都合で早期に受付が終了することもあるため、申請を検討している場合は早めの行動がおすすめです。
さらに、マイホーム購入時には子育てエコホーム支援事業以外にも「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「ZEH補助金」など、さまざまな補助金が活用できる可能性があります。
自治体ごとに提供される補助金もありますので、しっかりとリサーチをおこない、最適な補助金を活用して理想のマイホームを手に入れる計画を立てましょう。