
冬の寒さは、愛犬にとっても大きな負担となる場合が多くあります。とくに小型犬や短毛種の犬、シニア犬は寒さに弱いというのが特徴です。体調を崩しやすいため、飼い主さんは適切な寒さ対策をしてあげましょう。本記事では、愛犬が冬を快適に過ごすための工夫や、家で実践できる寒さ対策、安全な暖房器具の使い方をご紹介します。愛犬の健康を守り、冬を暖かく一緒に楽しめるヒントが満載なので、ぜひ最後までお読みください。
犬の寒さ対策が必要な理由

犬は人間より体温が高く、全身が毛で覆われているため、寒さに強い印象があるかもしれません。しかし実際には、体温を調節するのが得意ではなく、冬の寒さに弱い犬種もいます。多くの犬はお腹の毛が薄く、お腹が冷えやすいというのが特徴です。見た目は毛が密集しているように見えても、毛質によっては保温効果があまり期待できない場合もあります。
さらに、犬は言葉で気持ちを伝えられないので、寒くても我慢しているケースが多い点にも注意が必要です。飼い主さんは、愛犬の様子をよく観察し、必要に応じて寒さ対策をしてあげましょう。
犬の寒さ対策は犬種や体の特徴によって異なる

犬が寒さをどれくらい感じるかは、犬種や年齢、体の大きさによっても異なります。愛犬の健康と快適さを守るためには、特徴を知った上で寒さ対策を考えることが大切です。ただし、犬にも個性があるので情報だけで判断せず、愛犬の様子に適した寒さ対策をしてあげましょう。一般的に寒さに弱いとされる犬の特徴として、次の4つがあります。
小型犬
体が小さい小型犬は、体内にためられる熱が少ないというのが寒さに弱い原因です。また、全体の筋肉量が大型犬と比べて少なく、体温を上げるのが難しいという問題もあります。小型犬の代表的な犬種は、以下の通りです。
・トイプードル ・チワワ ・ポメラニアン ・マルチーズ ・ヨークシャーテリア |
短毛種
短毛種とは、毛の長さが約3cmまでの犬を指します。被毛が短いため、体を寒さから守るのが苦手な犬種です。短毛種として代表的な犬は、以下の通りです。
・パグ ・ミニチュアダックスフンド ・ボストンテリア ・柴犬 ・フレンチブルドッグ |
シングルコートの犬種
犬の被毛には、2層構造の「ダブルコート」と、1層のみの「シングルコート」の2タイプがあります。シングルコートの犬種は保温力のあるアンダーコートがないため、寒さに弱いというのが特徴です。シングルコートの主な犬種は、以下の通りです。
・パピヨン ・マルチーズ ・イタリアングレーハウンド ・ミニチュアピンシャー ・ダルメシアン |
子犬・シニア犬
子犬は体が小さく、体温調整の機能が発達していません。被毛も少ないため寒さに弱いだけでなく、温度調整が苦手な点にも注意が必要です。長時間寒い場所にいると風邪をひくリスクが高まるので、飼い主さんは寒さ対策を行いましょう。
シニア犬も子犬と同様に寒さに弱くなるだけでなく、加齢とともに体温調整機能が低下します。寒さを感じる力も弱まるため、老犬には丁寧な寒さ対策が不可欠です。
犬が寒さを感じているときのサイン

寒さは人間だけでなく、犬にとっても厳しいものです。犬も寒さを感じると、震えたり体を丸めたりといった行動で表現します。しかし、言葉で寒さを訴えられないため、飼い主さんが愛犬の様子に注意を払うことが大切です。犬が寒さを感じているサインには、以下のような行動があります。
・小さく丸くなり、体を抱え込む ・小刻みに震える ・布団や毛布にもぐる ・鼻を隠す ・飼い主さんのそばに寄ってくる ・散歩に行きたがらない |
愛犬のサインを見逃さないようにし、寒さ対策をしっかりと行いましょう。
愛犬が冬を快適に過ごすための寒さ対策

寒さは犬の健康や心地よさに大きく影響するため、飼い主さんが対策をしてあげることが大切です。愛犬が寒さに負けないように、以下のような対策をおすすめします。冬の寒さが厳しくなる前から準備をしておくのが理想的です。
部屋の温度を調整する
犬を寒さから守るための大切な方法は、部屋の温度管理です。犬も人間と同じように寒さを感じ、体が冷えると体調が悪くなる生き物です。愛犬が健康で気持ちよく過ごせるためも、部屋の温度はしっかり管理します。犬が快適に過ごせる冬の室温は20~22℃程、湿度は40~60%が目安です。ただし、犬種や年齢によっても個体差があるため、愛犬の様子に合わせて調整しましょう。
犬の寒さ対策に役立つ防寒グッズを活用する
寒い季節の寒さ対策として、防寒グッズは非常に効果的です。とくに散歩や家の中が冷え込むときに、愛犬を寒さから守ってくれます。犬に防寒グッズを活用するメリットは、主に以下の2つです。
・保温効果
防寒コートや毛布を使うと、愛犬の体温を保ちやすくなります。暖房マットやヒーター付きのベッドも、暖かくて快適な寝場所となるので便利です。
・保護効果
防寒グッズは寒さだけでなく、雨や雪からも愛犬を守ってくれます。雨や雪の日の散歩には、防水・防寒コートやブーツがおすすめです。
室内でできる犬の寒さ対策とおすすめアイテム

室内での犬の寒さ対策として、「寒い場所を避ける」と「暖房器具をうまく使う」の2点が重要なポイントです。玄関や廊下、窓の近くは外から冷たい空気が入りやすく、家の中でも温度が低い場所となります。愛犬のケージを置いているようであれば、冬の間だけでも暖かい場所に移動してあげましょう。さらに、必要に応じて以下のような暖房アイテムを使うと、愛犬をより効果的に寒さから守れます。
犬の寒さ対策に人気の「犬用コタツ」
ペットと暮らす人が増え、犬の寒さ対策として「犬用コタツ」が人気です。犬用コタツは、周りを布団で覆って暖かさを保ちます。犬にとって安心して過ごせる場所にもなるので、ストレスケアとしてもおすすめです。犬用コタツには、一部が開いているタイプと、全面が布団で覆われているタイプがあります。全面が覆われているタイプを使うときは、空気の入れ替えができるように、布団の一部を少し開けておくと安全で快適です。
犬の寒さ対策に役立つホットカーペット
ホットカーペットは、犬のお腹を直接温められるというメリットがあります。寒さ対策に人気がある一方で、温度管理には注意が必要です。熱くなったときに自力で動くのが難しい高齢の犬や子犬には、低温やけどの危険があります。また、人間用のホットカーペットは高温になるため、毛布やペット用のベッドを置いて対策しましょう。可能であれば犬用のホットカーペットを用意し、こまめに温度を確認してあげると安全に使えます。
犬の寒さ対策に便利な湯たんぽ
湯たんぽは電源がいらずに温かさが長く続くので、寒さ対策に非常に便利です。犬がいたずらする心配もなく、夜や留守番時でも安心して使えます。湯たんぽを使うときは、タオルや毛布でしっかり包んであげましょう。金属製の湯たんぽは、温かくなりすぎる場合があるので注意が必要です。長時間使用する際は、大きめサイズを選ぶのがおすすめです。小さいものだとお湯がすぐに冷めてしまい、かえって寒くなる原因となります。
犬の寒さ対策におすすめの腹巻
冬になると、お腹が冷えて体調を崩す犬も少なくありません。犬のお腹は毛が少ないので、寒さ対策として腹巻を使って温めるのが効果的です。とくに被毛が少ない犬種や老犬は、腹巻でお腹を守ってあげると良いでしょう。犬用の腹巻がない場合は、人間用のネックウォーマーでも代用できます。サイズはぴったりよりも、少しゆとりのあるほうが温度調節しやすくておすすめです。
犬の寒さ対策として暖房を使用する際の注意点

暖房は犬の寒さ対策として便利ですが、使用にはいくつかの注意点があります。犬種によって寒さに強い犬もいれば、弱い犬もいるため、すべての犬に共通しているわけではありません。飼い主さんは愛犬の特性を理解した上で、以下の点に注意しましょう。
愛犬の体調の変化に気をつけよう
犬の寒さ対策で暖房器具を使うときは、体調の変化に注意が必要です。暖房を長時間つけっぱなしにしていると、部屋が暖まりすぎてしまいます。犬がぼんやりしたり、脱水症状になったりするケースも珍しくありません。いつでも水が飲めるようにし、定期的に換気してあげましょう。部屋の温度だけでなく湿度も重要で、乾燥が気になるときは加湿器を併用すると安心です。
熱くなったときの「逃げ場」を用意しよう
犬の寒さ対策をするときには、熱くなりすぎたときの避難場所をつくってあげる必要があります。人間は暑くなれば服を脱いだり、部屋の温度を変えたりして体温を調節できます。しかし、犬は自分ではコントロールできません。人間が「少し暑いな」と感じるときでも、犬にとっては暑すぎる場合があります。犬が自分で快適な場所を選べるよう、涼しい場所へ自由に移動できる環境を整えてあげましょう。
低温やけどに注意しよう
犬の寒さ対策で暖房器具を使うときは、低温やけどに注意が必要です。低温やけどは、体温より少し高い温度の場所に長く触れていると起こります。犬の場合、44℃〜50℃くらいが低温やけどの危険がある温度です。ストーブのような直接火が見えずに温風が出る暖房器具でも、犬が近づきすぎると低温やけどをする恐れがあります。安全な距離を保てるように、暖房器具の周りにペット用のガードを置くなどして対策しましょう。
火事に気をつけよう
犬の寒さ対策で暖房器具を使うときは、火事のリスクに注意が必要です。お留守番や寝ているときなど、飼い主さんの目が行き届かない場面もあります。犬がコードをかじったり、トイレを失敗したりすると、火災の原因になってしまいます。外出中に地震が発生し、暖房器具が倒れて火が燃え広がるかもしれません。どのような暖房器具を使う際でも、火災のリスクを考慮しておきましょう。
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犬の寒さ対策に配慮した快適な家づくりの工夫

愛犬と飼い主さんが快適に暮らせる家をつくるには、断熱性や気密性の高さが求められます。窓には、部屋の温かさを逃がしにくい木製サッシや断熱ガラスを使い、必要に応じて遮熱カーテンやハニカムスクリーンを追加するとより効果的です。
壁や天井に断熱材を入れ、床下に熱をためる「蓄熱層」をつくると家が冷えにくくなります。床下に温水を流して部屋全体が暖められるガス温水式床暖房を設置すれば、こたつやストーブよりも安全で、愛犬が走り回っても安心です。また、部屋が乾燥しにくく、犬の抜け毛が舞い上がりにくいので飼い主さんにもメリットがあります。
さらに、湿度を調整できる床材や壁材を使うと、結露を防ぐだけでなく、調湿効果も期待できます。コルクや無垢材の床材は温かく、クッション性があって滑りにくいので犬の足にも優しい素材です。とくに自然素材の「三和土(たたき)」は、湿度調整や消臭効果もあり、愛犬がいる家に適しています。
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愛犬に合わせた寒さ対策で安全に冬を過ごそう

犬は犬種や被毛のタイプによって、寒さに強い犬と弱い犬がいます。暖房を使って犬の寒さ対策をするときは、愛犬の安全確保が重要です。部屋が熱くなりすぎたら涼しい場所に移動できるようにしたり、乾燥で呼吸器にトラブルが起きたりしないように配慮します。散歩の際は室内との温度差があるので、犬用のスノーウェアやシューズを使うと便利です。愛犬に合った寒さ対策をして、飼い主さんと一緒に冬を快適に過ごしましょう。
猫の寒さ対策についても紹介していますので、くわしくは以下の記事をご覧ください。