犬は何時間なら留守番できる?安心して外出できる環境づくりのポイントを解説
犬と一緒に暮らしていると、時には留守番をお願いしなければなりません。しかし、犬は群れで生活していた習性から、ひとりで長時間過ごすのが苦手です。この記事では、犬が留守番できる適切な時間や、便利なアイテム、飼い主さんが家を離れる際の注意点について解説します。愛犬が安心して留守番できる環境を整えたい方は、ぜひ参考にしてください。
犬がストレスなく留守番できる時間
犬は孤独な状況に弱いだけでなく、家で留守番していると「飼い主さんが帰ってこないかもしれない」という不安から強いストレスを感じます。精神や肉体的にダメージを受け、分離不安の症状が出てしまうケースもあるほどです。愛犬の健康のためにも、不安なく留守番できる時間を把握しておきましょう。
トレーニングを受けた成犬の場合
年齢や犬種によって異なるものの、トレーニングを受けた成犬の場合、8〜12時間は留守番が可能です。ただし、最初から8時間以上も家を空けるのではなく、徐々に慣らしていく必要があります。「ラブラドールレトリバー」「柴犬」「シーズー」「チワワ」は留守番が得意とされるものの、好きというわけではないので注意しましょう。
子犬の場合
生後半年を過ぎるまでは、できるだけ留守番は控えます。子犬は排泄頻度が高く、トイレトレーニングが重要なためです。生後3か月の子犬では約3時間、半年以上経過した子犬でも5〜6時間ごとのペースで排泄します。月齢が低い子犬ほどお世話が必要となるため、どうしても留守番させる際は1時間以内の帰宅を心がけましょう。
高齢の犬の場合
犬も年をとると、トイレの回数が増えたり、視力が低下したりと健康上の問題が増えてきます。成犬時代と比べてケガや病気のリスクも上がるので、留守番は4時間程度に留めるのが理想です。健康状態によっては人間の介助が必要となるため、愛犬の状態に応じて判断しなければなりません。
病気の場合
体調がすぐれないときに不安を感じるのは犬も同じなため、愛犬が病気の際はできるだけ一緒にいてあげましょう。元気そうに見えても容態が急変する可能性もあるので、大事をとるのが賢明です。どうしても外出しなければならない場合は、かかりつけの動物病院に連絡し、判断を委ねる方法もあります。
犬の安全な留守番をサポートするアイテム5選
犬の留守番には、安全で安心できる環境が欠かせません。ひとりで過ごす時間も、リラックスした状態で過ごせればストレスが軽減されるためです。愛犬が留守番に対してネガティブなイメージを抱かないよう、飼い主さんが不在の間も落ち着いて過ごせるアイテムを5つ紹介します。
ケージやサークル
犬が家の中を駆け回ってケガしないためには、ある程度の自由を制限すると安全です。飼い主さんが外出する際は、愛犬をケージやサークルに入れるようにします。犬は縄張り意識が強いため、テリトリーを確保できる空間のほうが安心するものです。広々としたケージやサークルを用意すれば、自分の部屋のように落ち着いて過ごせます。
おもちゃ
犬は好奇心が旺盛で、退屈するといたずらをしてしまう傾向があります。愛犬がひとりでも遊べるおもちゃを用意しておくと、寂しさを紛らわせるのにも役立って便利です。おもちゃは、愛犬の年齢や犬種、性格に合わせて選ぶと長時間遊んでくれます。たとえば、子犬には歯固めにもなる噛むおもちゃ、成犬には頭を使う知育おもちゃがおすすめです。
食事や水
犬は自分でご飯の用意ができないので、空腹を感じて困らないように食事や水の準備が欠かせません。しかし、大量のフードを与えてしまうと、一気に食べ過ぎてしまいます。飼い主さんが長時間不在にする場合は、オートフィーダー(自動給餌器)がおすすめです。決められた時間に適量の食事を補給してくれます。
トイレシート
いつもはトイレに失敗しない犬でも、留守番中の寂しさから粗相してしまうケースは少なくありません。また、トイレシートが汚れていると、別の場所で排泄してしまうのも犬の習性です。留守番の時間と愛犬の排泄リズムに合わせてトイレシートを用意しておくと安心です。食事スペースや寝床の近くは避け、気持ちよく過ごせる場所に設置しましょう。
ペットカメラ
職場や外出先から愛犬の様子を確認したい飼い主さんには、見守りカメラが便利でおすすめです。多くのペットカメラはスマートフォンから操作でき、飼い主さんの声を聞かせられる製品もあります。留守番中のペットに安心感を与えられるだけでなく、録画機能付きのカメラであれば不審者対策としても有効です。
留守番中の犬が気をつけたい3つの危険
飼い主さんの多くは、留守中に愛犬がケガや病気にならないか不安を感じています。家を出る際は、事故を防げる環境に室内を整えておくと安心です。留守番中の犬にどのような危険があるのか、代表的な例を3つ解説します。
誤飲や誤食
留守番中は飼い主さんの目が行き届かない分、愛犬は家の中を自由に動きやすい状態です。そのため、テーブルの上に出しっぱなしにしていた人間の食べ物を口にしたり、観葉植物を食べてしまったりと誤飲や誤食のリスクが高まります。場合によっては命に影響を及ぼすので、外出の際は犬が興味を示すものや口にしたら危険なものは見えない場所にしまっておきましょう。
火災
犬の留守番中に火災が発生してしまうケースもあり、主な原因は「電気コードを噛んだ」「ガスコンロのスイッチを入れた」というものです。キッチンや電化製品の近くは危険が多く、冬場は暖房器具にも火災のリスクが潜んでいます。愛犬はケージやサークルに入れて出かけるのが望ましいものの、難しい場合は「電気コードはコンセントから抜く」「キッチンに立ち入れないようペットガードを設置する」などの対策を講じましょう。
熱中症
夏の暑い時期は、体温調節が苦手な犬にとって熱中症のリスクが高まります。留守番中の高温多湿な状況だけでなく、落雷による停電にも注意が必要です。犬にとって適切な室温の目安は24〜26度とされているため、エアコンで室温を調整しておきます。万が一、停電してしまった場合に備え、クールマットや保冷剤を入れるタイプのベッドを用意しておくのがおすすめです。
犬の留守番前後に飼い主さんができる工夫
好んで留守番したがる犬はいなくても、どうしても愛犬を留守番させなければならない場面はあります。飼い主さんができるのは、愛犬の寂しさや不安を和らげるように工夫することです。
留守番前に散歩に連れていく
体力が余っている状態で留守番させると、犬は動きたくなってしまいます。ケージやサークルから出られない不満で吠えたり、ストレスからトイレシートを噛んだりしてしまう原因にもなりかねません。愛犬の安全のためにも、できれば眠っておとなしく待ってもらいたいものです。出かける前に散歩に行けば、体力を消耗でき、排泄も済ませられます。
普段と同じ音を流す
愛犬が留守番中に不安を感じないためには、いつも家に流れているラジオや音楽を流しておくのも効果的です。環境の変化を感じにくくなるため、飼い主さんのがいるかのような環境で過ごせます。短時間の留守番であれば、ゴム製のおもちゃにおやつを入れて与えておくも良い方法です。愛犬がおやつを取りだそうと夢中になっている間は、飼い主さんの不在を忘れられます。
声をかけずに出かける
留守番が苦手な犬の場合、声をかけずに家を出るのがおすすめです。わざわざ寂しくなることを知らせるのではなく、ご飯やおやつを与え、夢中で食べている間に出かけてしまいます。ただし、量をあげ過ぎるとトイレに行きたくなってしまうので、噛み応えのあるもので時間を稼ぎましょう。飼い主さんが出かけるときに吠えたりしない犬であれば、「いってきます」「お留守番よろしくね」と笑顔で声かけしてあげます。
トイレを掃除しておく
犬はきれい好きなので、トイレが汚れていると排泄を我慢してしまいがちです。場合によっては、違う場所で粗相してしまう可能性もあります。出かける前はトイレシートを交換し、清潔な状態にしておきましょう。生活リズムが整っている犬であれば、排泄のタイミングに合わせて家を出るようにします。愛犬が快適に留守番できるよう、飼い主さんが協力的な姿勢を心がけることも大切です。
帰宅直後は愛犬をかまい過ぎない
飼い主さんが帰宅した際に、愛犬が吠えたり興奮したりしている状態でかまってしまうのは控えましょう。犬は学習する動物なので、「興奮して出迎えると飼い主さんがかまってくれる」と認識してしまいます。さらに、愛犬が飼い主さんの帰宅を心待ちにするようになると、反動で留守番中の孤独感が増してしまう原因です。愛犬が落ち着いてから声をかけるようにすると、鍵が開く音を聞いても騒がずに待てるようになります。
犬の預け先を確保しておくと長期の留守番も安心
愛犬との暮らしが長くなるほど、出張や旅行で家を何日間か留守にする機会が出てきます。飼い主さんが数日間に渡って家を空ける場合は、愛犬の安全のためにも以下の方法で留守番させるのがおすすめです。
ペットホテルに預ける
ペットホテルには専門のスタッフが常駐しており、愛犬の世話をきちんと行ってくれます。ホテルによっては犬同士の交流もあり、愛犬の社交性を向上させられると人気です。動物病院が運営しているペットホテルであれば、体調面に不安のある犬でも安心して利用できます。宿泊には費用がかかるものの、愛犬が安心して過ごせると考えれば、決して高額ではありません。
ペットシッターを依頼する
ペットシッターを頼めば、自宅で愛犬の世話をしてもらえます。食事やトイレだけでなく、散歩などの健康管理までお願いできる会社がほとんどです。しつけのトレーニングをしてくれる場合もあるので、子犬のお留守番にも適しています。ペットホテルを予約する時間がない、あるいは自宅外に連れ出せない事情がある場合は、ペットシッターがおすすめです。
デイケアサービスを利用する
犬の幼稚園や保育園のようなサービスで、飼い主さんが不在の間に子犬を預かって世話してくれます。ドッグトレーナーが常駐している施設も多く、社会化やアクティビティをサポートしてもらえて安心です。一方、老犬のデイサービスは、給餌介助や排泄の手伝い、床ずれ防止のマッサージなどを行ってもらえます。日本では数が多くなかったものの、動物病院やペットホテルでの導入が増えてきました。
友人や親戚に頼む
友人や親戚が近くに住んでいる場合は、愛犬のケアをお願いできるかもしれません。犬の飼育経験があれば、散歩も安心して任せられるでしょう。日頃から交流があれば、飼い主さんが信頼している人として愛犬も懐きやすいというのがメリットです。場所によってはペット歓迎の住宅地もあり、犬との暮らしを後押ししてくれます。家を留守にする機会が多い場合は、愛犬と一緒に加われるコミュニティを探してみるのも1つの方法です。
犬の留守番には安心できる環境づくりが大切
犬はひとりでの留守番に強いストレスを感じるため、飼い主さんは適切な準備と安全な環境を整える必要があります。20分程度から慣らしはじめ、様子を見ながら徐々に時間を伸ばしていきましょう。1日以上家を開ける際は、信頼できる預け先にお願いすると安心です。愛犬を留守番させる機会が多い場合は、犬を飼う人が多いエリアへの引越しも視野に入れるとストレスなく暮らせます。
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