
「犬と暮らす家を建てるなら、間取りにこだわることが大切!」と思いながら家づくりを始めたものの、実際に住んでみると 「間取りに失敗した…」 という声は少なくありません。
・床が滑りやすくて犬がケガをした
・階段が急で老犬になったときに困った
・トイレスペースを考えておらず、家の中が汚れがちに…
このような後悔をしないために、犬と快適に暮らせる間取りの工夫をくわしく解説します!
犬と暮らす家の間取りの工夫が必要な理由と失敗を防ぐポイント
犬と快適に暮らす家を建てる際、間取りの工夫が欠かせません。犬の習性を考えずに間取りを決めてしまうと、入居後に「もっとこうすればよかった…」と後悔する原因となってしまうためです。ここでは、なぜ犬と暮らす家づくりで間取りが重要なのか、その理由を解説します。
犬の習性を理解し、間取りの工夫を取り入れる
犬と快適に暮らすためには、犬の習性や行動パターンを理解することが大切です。間取りの工夫が足りないと、犬にストレスを与えるだけでなく、ケガのリスクも高まります。
犬は広いスペースで走り回るのが好き
犬は本来、活発に動き回る動物です。十分な運動スペースがないとストレスを感じ、問題行動につながることもあります。
【解決策】
・リビングや庭に走り回れるスペースを確保する
・滑りにくい床材を選び、ケガを防ぐ設計にする
ひとりぼっちが苦手な犬もいる
犬は飼い主さんと一緒にいることで安心感を得る動物です。間取りの工夫をしないと、犬が孤独を感じてしまうことがあります。
【解決策】
・リビングや家族が集まる場所の近くに犬用スペースを設置
・部屋を仕切りすぎず、犬が家族の存在を感じられる設計にする
体温調節が苦手で暑さに弱い犬が多い
犬は人間ほど体温調節が得意ではないため、とくに夏の暑さには注意が必要です。間取り次第で、暑さ対策のしやすさが大きく変わるので注意しましょう。
【解決策】
・直射日光が当たりすぎない犬の休憩スペースを確保する
・風通しの良い間取りを設計し、空調の効率を上げる
犬の健康を守るために間取りを工夫する
間取りの設計を間違えると、犬の健康に悪影響を及ぼすことがあります。家を建てる際には、犬の身体への負担を減らす間取りの工夫が必要です。
滑りやすい床は足腰に負担をかける
フローリングやタイルは滑りやすく、犬の足腰に負担をかける原因となります。とくに、小型犬やシニア犬は関節が弱いため、間取りを決める際に床材の選び方が重要です。
【解決策】
・クッション性のある床材(コルク・クッションフロア)を採用
・滑り止めマットを敷いて安全性を高める
階段の設計を間違えると、シニア犬になったときに困る
若いうちは元気に上り下りできても、年を取ると階段が大きな負担となります。小型犬や足腰の弱い犬種は、階段の昇り降りが苦手な点にも注意しましょう。
【解決策】
・段差を減らし、バリアフリー設計を意識する
・スロープやペット用ステップを活用して負担を軽減
飼い主の暮らしやすさも考えた間取りが必要
犬のために家を設計すると、飼い主さんが暮らしにくい家になってしまうケースもあります。犬と快適に暮らすためには、人間と犬の両方にとって過ごしやすい間取りを考えることが大切です。
掃除のしやすさを考えた間取りが重要
犬と暮らすと、抜け毛や足跡などで室内が汚れやすくなるため、掃除のしやすさを考えた設計が必要です。
【解決策】
・犬の抜け毛が溜まりにくい床材(フローリング・タイル)を採用
・トイレスペースを設置し、汚れが広がらない工夫をする
動線をスムーズにすると、ストレスを軽減できる
犬が自由に動き回れるようにスムーズな動線を確保することも大切です。玄関・リビング・庭のつながりを考えた間取りにすれば、散歩や遊びの時間が快適になります。
【解決策】
・玄関から直接庭に出られる動線を設計
・リビングにペット用ドアを設置し、自由に行き来できるようにする
犬と暮らす家の間取りで失敗しがちな3つのパターンと対策
犬と快適に暮らせる家を建てる際、間取りの設計を誤ると「住みにくい」と感じるポイントが出てきます。犬と暮らす間取りに失敗しないために、よくある失敗例とその対策を3つ紹介しましょう。
失敗例1:犬が安心して過ごせるスペースがない
犬は飼い主さんと一緒にいることを好む動物なものの、常に刺激がある環境ではストレスを感じてしまいます。たとえば、人の出入りが多くいリビングでは落ち着けない、テレビの音が常に聞こえる状況ではゆっくり休めないのが問題です。
失敗しない間取りのポイント
・階段下のデッドスペースを活用し、落ち着ける犬専用スペースを作る
・リビングの一角に、人の動線と交わらないコーナーを設置
・犬が安心して眠れる、飼い主の視線が届きにくい場所を確保する
ペット専用スペースは、眠るときやトイレの際、また雷などの音を怖がるときに安心できる場所となります。設計の段階で、犬が落ち着いて休める空間を確保することが重要です。
失敗例2:ペット用品の収納を考えていなかった
犬と暮らすと、次のようなアイテムで思った以上に収納が必要となります。
・ドッグフード
・トイレシート
・リード
・おもちゃ
・お手入れ用品など
適切な収納スペースを確保していないとリビングや玄関が雑然とし、室内の美観が損なわれる原因です。
失敗しない間取りのポイント
・玄関土間やシューズクロークにペット用品専用の収納を設ける
・リビングや廊下ではなく、適切な収納場所を確保する
・お散歩グッズは玄関にまとめて、出し入れしやすくする
「家の中へ持ち運ぶのが面倒」とならないよう、土間収納を活用してリードやお散歩バッグをまとめておくと、スムーズな動線になります。また、お散歩グッズやペット用ウェアは、玄関近くに収納を作ると、室内が泥で汚れるのを防げて便利です。
失敗例3:階段や段差で犬が足腰を痛める
犬は階段の昇り降りによって足腰を痛めるケースが多く、シニア期になると行動範囲が制限されるというリスクがあります。小型犬やダックスフンド、コーギーなどの犬種は、もともと足腰に負担がかかりやすいため、間取りの工夫が必要です。
失敗しない間取りのポイント
・階段の段差を低めに設計し、ペットの足腰に負担をかけない
・スロープを設置して、階段を使わずに移動できる動線を確保
・フローリングではなく、滑りにくい床材を採用
シニア犬になっても快適に暮らせるように、階段の段差は低く、傾斜を緩やかに設計するのが理想的です。フローリングの床は滑りやすいため、滑り止めマットやペット用床材を使用するとより安心できます。
犬のための家づくりで取り入れたい5つの工夫
犬と暮らす家を設計する際は、「人間も犬も快適に暮らせる間取り」を意識すると失敗しません。犬の習性に合った設備や間取りを取り入れると愛犬のストレスを減らせ、健康的に暮らせる住まいを実現できます。ここでは、犬と暮らす間取りで失敗しないポイントとして、家づくりで取り入れたい5つの工夫を見てみましょう。
1.ドッグランスペースを設ける
犬は本来、走り回ることが大好きな動物です。毎日散歩に行くのが理想なものの、雨の日や忙しい日は外に出られないこともあるでしょう。庭にドッグランスペースを設けると、犬が十分に運動できる環境となります。
家づくりのポイント
・柵付きのドッグランを庭や屋上に設置する
・適度な広さの運動スペースを確保する
・滑りにくい床材を選び、足腰への負担を軽減する
2.飼い主さんの気配を感じられる場所にゲージスペースを確保する
犬は飼い主さんの存在を感じると安心できる一方で、狭い場所に専用のスペースがあると落ち着く習性もあります。リビングの一角に、犬が安心できるゲージスペースを作ると、家族と一緒に過ごしながらも落ち着ける空間が確保できるのでおすすめです。
家づくりのポイント
・リビングの隅や家具の一角に、犬専用のゲージスペースを設置する
・部屋の動線を考え、犬が落ち着ける位置に配置する
3.ペット専用のくつろぎスペースを作る
犬には窓から外を眺める習性があります。しかし、窓の高さが合わないと無理な姿勢になり、転倒やケガの原因となるため注意が必要です。犬の目線に合わせた窓を設置すれば、安全に外を眺められます。
家づくりのポイント
・犬の目線に合わせた見晴らし窓を設置する
・窓辺に犬が休めるスペースを作る
4.散歩後に便利な足洗い場を設置する
室内犬の場合、散歩の後に犬を抱えてお風呂場まで運び、足を洗うのは大変です。玄関や庭に足洗い場を設置すると、汚れを室内に持ち込まずに済み、掃除の手間も減ります。
家づくりのポイント
・玄関や庭に、散歩後すぐに使える足洗いスペースを設置する
・水飲み場としても活用できるように設計する
5.ペットグッズの収納スペースを確保する
ドッグフードやペットシーツ、リード、ボールのような遊び道具は、意外とかさばるものです。散歩グッズは汚れることも多いため、適切な収納スペースがないと家の中が汚れやすくなります。
家づくりのポイント
・玄関近くにペット専用の収納スペースを確保する
・土間収納を活用し、汚れたおもちゃや散歩グッズをすぐに片付けられるようにする
事前にチェック!犬と暮らす家の間取りで後悔しないためのポイント
犬と一緒に快適な暮らしを送るためには、間取りや設備がペットの習性に合っているかを事前に確認しておくことが重要です。玄関・リビング・浴室・キッチン・階段など、さまざまな場所で安全性や快適性を確保するためにも以下のチェックリストを参考に、愛犬と安心して暮らせる家になっているか確認してみましょう!
玄関・ポーチまわり
・ポーチ:脱走防止のために柵やゲートを設置できるスペースがあるか
・玄関:散歩後に足を洗える十分なスペースが確保されているか
・玄関:散歩アイテムやペット用品を収納できるスペースがあるか
・玄関ホール:ペットフェンスなどでホールへの行き来を制限できる間取りになっているか
浴室・洗面所
・洗面所:トイレを設置できるスペースがあるか
・浴室:犬が勝手に開けにくい扉がついているか
・浴室:浴槽のフタは、犬が乗っても壊れない丈夫なものか
・浴室:犬が触れにくい位置にシャンプーや洗剤を収納できるスペースがあるか
・浴室:浴室乾燥機や窓など、扉を閉め切っていても除湿できる設備が整っているか
キッチン
・間取り:ペットの行き来を制限できるよう、ゲートや扉を設置できるか
・換気:換気扇の開口部分からの音漏れがないか(音に敏感な犬のため)
リビング
・犬専用スペース:愛犬が安心して休める場所を確保できる広さがあるか
・コンセント:コードを噛まれないよう、適切な位置に設置されているか
・換気:空気の入れ替えがしやすい設計になっているか
・カーテンボックス:犬の毛が溜まりにくいよう、天井付けになっているか
・2階リビングの場合:犬専用スペース、トイレ、シャンプーエリアを同じ階にまとめ、散歩以外で階段を使わずに過ごせるように設計されているか。
和室・寝室
・和室:ペットの出入りを制限できるよう、扉や仕切りが設置可能か
・寝室:犬が高齢になったときに専用の寝床を確保できる広さがあるか
階段・窓・バルコニー
・階段:ペットフェンスなどで出入りを制限できるか
・窓:直射日光を防ぐため、適度な庇(ひさし)が設置されているか
・バルコニー:ペットが転落・脱走しないよう、柵やフェンスが設置されているか
庭・裏口・勝手口
・裏口・勝手口:犬の散歩動線として活用できる位置にあるか
・庭:犬が口にすると中毒を起こす危険な植物がないか
・庭:脱走防止や無駄吠え対策として、適切な塀や囲いが設置されているか
犬の習性を考えた間取りで快適な住まいを実現
犬と暮らす家づくりでは、犬の習性や健康を考慮した間取りの工夫が重要です。滑りにくい床材の選定や段差を減らした設計、犬専用スペースの確保など、愛犬が快適に過ごせる環境を整えることで、ストレスやケガのリスクを軽減できます。また、飼い主さんの暮らしやすさも考慮し、掃除のしやすさや収納、動線の工夫を取り入れることがポイントです。記事のポイントを参考に、愛犬と飼い主さんが共に快適に暮らせる理想の住まいを実現しましょう。