コラム

シロアリが発生するとどうなる?侵入経路や防蟻工事の重要性とは

「シロアリは建物に有害!」とよく耳にしますが、どのような危険性があるのかぴんと来ない方もあるのではないでしょうか。実際、シロアリの被害は建物にとって深刻な問題です。シロアリ被害を放置すると、建物が壊滅的なダメージを受け経済的な損出につながる可能性もあります。

特に賃貸物件をお持ちの場合、シロアリの対策や駆除はオーナー負担が原則です。万が一建物を貸している間にシロアリによって大きな被害が起こると、被害の補償を求められることもあります。賃貸後のトラブルを回避するためにも、シロアリ対策は入念に行いましょう。

しかしながら、シロアリ対策は難しいもの。前兆なくシロアリ被害が進んでいることが大半です。

そこで今回は、シロアリの被害の特徴やシロアリの侵入経路、防蟻工事の重要性などについて解説していきます。木造の建物だけでなく部分的に木材が使われている建物も被害に遭う可能性があるので、建物をお持ちのすべてのオーナーの方はぜひ参考にしてください。

建物に被害を与えるシロアリの種類

日本には20種類以上のシロアリが生息していますが、建物に被害を及ぼす害虫であるシロアリは主に以下の3種類です。

・ヤマトシロアリ
・イエシロアリ
・アメリカカンザイシロアリ

参考:シロアリ被害実態調査報告書/国土交通省

ヤマトシロアリ

ヤマトシロアリは、日本のシロアリ被害の約90%を占める種類のシロアリです。北海道から沖縄まで全国に分布しており、床下などを通って建物の木材を食べる特徴があります。ヤマトシロアリは地下シロアリに分類され、乾燥した場所が苦手であり水と一緒でなければ木材を食べることができません。そのため、水分を多く含んだ木材を好みます。

イエシロアリ

イエシロアリは、日本のシロアリ被害の約8%を占める種類のシロアリです。ヤマトシロアリと同じ地下シロアリに分類されますが、イエシロアリは自分で水分を運べる特徴があるため、水分が少ない木材でも食べることができます。イエシロアリは寒さに弱く、日本では関東地方より北には生息していません。

アメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリは、日本ではわずか1%に満たない被害を及ぼすシロアリです。 アメリカからの外来種であり、近年日本で生息域を広げています。ヤマトシロアリやイエシロアリと違い乾材シロアリに分類され、乾燥している木材を好むのが特徴です。そのため、土壌近くだけではなく建物全体に被害が広がる恐れがあります。

シロアリ被害を受けると建物はどうなる?

シロアリが建物に発生すると、さまざまな被害に遭う恐れがあります。しかし、「少しのシロアリくらいは大丈夫では?」と考える方もいるかもしれません。シロアリの被害を放置すると建物がダメージを受けるだけでなく、最悪の場合経済的に大きな損失につながる恐れもあります。

シロアリの被害を最小限に抑えるには、初期症状で対処することが重要です。ここからは、シロアリの被害を受けた建物の初期症状や最悪の被害状況を見ていきましょう。

初期症状

シロアリ被害の初期症状には、以下が挙げられます。

・床がきしむ、沈む
・水回りの木材が変色する
・ドアや窓の立て付けが悪くなる
・建物内に木くずや砂がある
・壁や床に蟻道がある

日本に生息するシロアリの多くが暗く湿った場所を好むため、シロアリの被害は簡単に目に見えるわけではありません。そのため、上記のような初期症状が見られたらシロアリが住み着いている可能性が高いです。

被害を放置すると…

シロアリは、木材の内部を食べて建物を倒壊させる恐れがあります。わずか5mm前後の小さな虫でありながら、たくさん集まると建物に使われている木材を食べ尽くす可能性もゼロではありません。そのため、シロアリの被害を放置すると、最悪の場合建物が倒壊することもあるのです。さらに、シロアリが建物の主要構造部分を食べて弱くすることで、地震などの災害時の建物倒壊リスクも高くなります。

シロアリは木材を食べる生き物であるため、木材で建てられた住宅などの建物のお持ちのオーナーの方は特に注意する必要があります。木造だけでなく、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物も注意が必要です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造であっても、室内の木枠やフローリングの床、家具などにシロアリが発生した事例があります。建物に少しでも木材が使われていれば、シロアリ被害に遭う恐れがあるのです。

シロアリの被害を見分ける方法

シロアリの被害に遭った木材は、穴があくなどの特徴があります。しかし、木材に穴があいただけでは、シロアリか単なる木材の腐食か判断が難しいところです。シロアリの被害を見分ける方法には、以下の2つが挙げられます。

木材を叩いてみる

日本に生息する多くのシロアリは乾燥した場所が苦手であるため、木材の中を食べ進みます。そのため、シロアリの被害に遭った木材は内部に穴があいているのが特徴です。木材の内部に穴があいているかは、見た目だけではなかなか判断できません。中の穴を確かめるために、木材を叩くのが有効です。

シロアリの被害に遭った木材を叩くと、乾いた空洞音がします。木材の腐食の場合は表面から劣化するのが一般的であるため、中に穴があいていればシロアリが住み着いている可能性が高いです。

木材の周辺を観察する

シロアリの多くが、蟻道と呼ばれる土と分泌物を固めて作った道を木材の表面に作ります。蟻道はシロアリ被害特有のものであるため、木材の周辺に蟻道が確認されたら高確率でシロアリの被害に遭っています。砂や土が不自然な場所に付着している場合は、蟻道を疑いましょう。

ただし、シロアリ以外のアリも蟻道を作ることがあります。通常のアリの蟻道は触るとすぐにぼろぼろと壊れてしまいますが、シロアリの蟻道は硬い粘土状でありすぐに壊れることはありません。蟻道を見つけたら手で触り、なんの蟻道かを確認しましょう。

シロアリの侵入経路

シロアリ対策を行うためには、シロアリの侵入経路を知っておく必要があります。一般的なシロアリの侵入経路には、以下の4つが挙げられます。

・土の中から侵入する
・建物と建物の隙間から侵入する
・基礎と断熱材の隙間から侵入する
・窓や玄関から侵入する

土の中から侵入する

シロアリの最も一般的な侵入経路は、土の中からです。日本に生息するほとんどのシロアリは乾燥した場所を嫌い、暗く湿った場所を好みます。ヤマトシロアリやイエシロアリの巣は地中にあり、そこからエサとなる木材にたどり着くよう道を伸ばし侵入します。

木材をエサとするシロアリは、基本的にコンクリートでできた基礎部分を通り抜けることはできません。しかし、土の中を基礎を伝って潜り、最下部から建物の床下土壌に侵入します。そこから木材が多い基礎の上にたどり着き、建物を食い尽くすのです。

建物と建物の隙間から侵入する

シロアリは、暗く湿った場所であれば地上でも移動することができます。特に地上の侵入経路で多いのが、建物と建物の間です。たとえば、基礎に沿って物置が置かれている家であれば、その隙間を使って移動します。そのため、シロアリの被害に遭っている建物は、暗くジメジメした隙間部分に蟻道が見られることもあります。

基礎と断熱材の隙間から侵入する

近年の建物にはよく見られる断熱材は、基礎との間にわずかな隙間を生み出してしまいます。隙間部分は日の光が入りにくく風通しも悪いため、シロアリの絶好の通り道になりかねません。断熱材だけでなく、基礎の表面に化粧板を取り付けている場合も隙間が生まれ、シロアリの侵入経路になることがあります。

窓や玄関から侵入する

シロアリは、4〜7月の繁殖にかけて羽の付いた女王アリと王アリと飛び立たせる習性があります。それらの羽アリは窓や玄関から侵入することがあり、そこから建物の被害につながる恐れもあります。建物の中や周辺で羽アリを見つけた場合、近くに巣がある可能性が高いです。近くに巣がある場合、巣ごと駆除しなければシロアリの被害に悩まされ続ける可能性もあります。

建物に防蟻工事が必要な理由

建物をシロアリの被害から防ぐためには、防蟻工事と呼ばれる工事が効果的です。しかし、「シロアリごときで工事は大げさなのでは…?」と考える方も多いのではないでしょうか。しかし、今回の記事で紹介した通り、シロアリが発生すると建物に甚大な被害が及ぶ可能性が高いです。防蟻工事を行うことで、以下の4つのメリットを得ることができます。

・建物の安全性を確保する
・予期せぬ費用を抑える
・資産価値を守る
・健康被害を予防する

建物の安全性を確保する

建物は、頑丈な柱や梁に支えられて成り立っています。しかし、シロアリの被害によって柱や梁が脆くなると、建物全体の安定性が低下します。シロアリの被害が大きくなると、地震などの災害が起きると倒壊してしまったり、柱に触れただけで崩れたりするほど脆くなる可能性も高いです。最悪の場合、建物の倒壊による怪我や死亡事故につながる恐れもあり、シロアリ被害は放置できない問題です。

防蟻工事を行うことで、このような命に関わるトラブルを予防することができます。建物を賃貸しているオーナーの場合、建物の倒壊による事故の責任を負う必要もなくなります

予期せぬ費用を抑える

シロアリ予防工事(防蟻工事)を行うと、坪単価5,000〜7,000円程度の費用がかかります。しかし、防蟻工事を行わないとさらなる費用がかかる可能性があるのです。

シロアリの被害が深刻化すると、大規模な補修工事が必要となることがあります。シロアリの駆除だけでは高額な費用は不要ですが、主要構造部分の被害が大きければ建て替えなどで多額の費用が発生することも予想されます。将来の良き説費用を抑えるためにも、防蟻工事は有効的な手段の一つです。

資産価値を守る

所有する建物にシロアリ被害がある場合、資産価値が著しく低くなります。シロアリの被害を気づかないまま売却や賃貸を行おうとすると、予想価格を下回る可能性が高いです。

建物は築年数が経つと資産価値が下がりますが、長く安心して暮らせる、適切なメンテナンスがされている、メンテナンスがしやすい点をクリアしている建物は資産価値を維持できることもあります。防蟻工事は新築時が一番しやすいため、できるだけ早い段階で防蟻工事を行うことで建物の資産価値を守ることができます。

健康被害を予防する

シロアリは、建物だけでなく人体に被害を及ぼす可能性があります。シロアリが建物の中に発生すると、誤って触れると噛みつかれることも少なくありません。シロアリに毒性はないものの、木材を噛み砕く顎を持っているため噛まれると猛烈な痛みを感じるでしょう。

さらに、シロアリが木材を食べ荒らしたあとは、腐朽とフンなどで汚れている場合が多いです。腐朽とフンなどの汚れを放置すると、カビや細菌の繁殖を促進してしまいます。シロアリが発生したあとに使う駆除の薬剤には人体やペットに影響を与える恐れもあるため、シロアリの被害に遭う前の防蟻工事は健康被害の予防にも重要です。

まとめ

シロアリの被害は、建物にとって重大なリスクをもたらします。シロアリ被害を放置すると最悪の場合建物の倒壊やそれに伴う怪我や死亡事故の可能性もあるため、シロアリの被害は早めに対処することが大切です。今回紹介したシロアリの初期症状や見分ける方法を参考に、お持ちの建物がシロアリの被害に遭っていないかを確認してみましょう。

シロアリの被害を事前に予防するには、防蟻工事も効果的です。シロアリは建物だけでなく人体にも影響を及ぼすため、大切な建物と住む人たちの健康的な生活を守るためにも、防蟻工事も検討しましょう。シロアリが発生すると、駆除に時間と費用がかかってしまいます。

とはいえ、シロアリ被害にあっているかどうかの確認は中々わかりにくいものです。

気になることがあれば専門業者にご相談されることをオススメいたします。

シロアリの防蟻工事や駆除を検討している方は、「日本中央住販カスタマーサービス」までご相談ください。当社にて建物を所有しているオーナーの方だけでなく、他社で建築された建物のシロアリ被害相談も受け付けています。シロアリ被害の恐れがある方や建物を購入して5年以上経つ方はお気軽にご相談ください。

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