コラム

電気がつかないのは漏電が原因?原因の調べ方と対処法を解説

建物の電気が突然つかなくなった場合、さまざまな原因が考えられます。原因によって適切な対処法は異なるため、まずは原因を知った上で解決するのが大切です。電気がつかない理由の一つには漏電が挙げられ、漏電を放置すると感電や火災などの命にかかわるリスクも生じます。

今回は、漏電の原因や漏電が疑われるときの具体的な対処方法、その他の電気がつかない原因と対処法について解説していきます。電気がつかない原因の調べ方についても紹介しているため、所有している建物の電気がつかなくてお困りのオーナーの方はぜひ参考にしてください。

漏電とは

漏電とは、その名の通り電気が漏れ出す現象のことです。通常、電気は電気配線を通って電気器具に供給され、電気配線には電気を通しにくい物質で覆うなどの絶縁処理が施されているため、漏電することはありません。しかし、何らかの理由で絶縁が不完全になることで、電気が外に漏れてしまうのです。

漏電が起きると電気代がさまざまなところへ流れてしまうため、電気代が高くなります。漏電したところを触ると、感電することもあり、場所や漏電の度合によっては大きな障害が残るほどの怪我や死亡の可能性もあります。漏電によって周囲が発火すると、建物全体の火災を引き起こすかもしれません。漏電は命や財産を奪われることもある恐ろしいものであるため、日頃からの対策が必要です。

漏電の原因

漏電の原因には、以下の7つが考えられます。

・水漏れ
・電化製品の劣化
・電気コードやプラグの破損
・建物の劣化
・小動物
・タコ足配線

水漏れ

水には電気を通しやすい性質があるため、コンセントや電化製品が濡れてしまうと電気が正常な回路ではなく水を伝って外部へ漏れやすくなります。通常、水回りで使用する電化製品は防水性の高い素材で覆われています。しかし、絶縁体が劣化することで防水性が低下し、漏電の原因につながるのです。水回りで使うことを想定されていない電化製品には防水処理が施されていないことも多いため、使用場所には注意が必要です。

電化製品の劣化

電化製品を長期間使うと、電化製品自体だけでなく絶縁体も劣化してしまいます。絶縁体の劣化は見た目や電化製品の使い勝手からは判断できないため、頻繁に漏電するようであれば電化製品の絶縁体の劣化を疑いましょう。

電気コードやプラグの破損

電気コードを引っ張ってプラグを抜いたりコードを急な角度で曲げたりなどの負荷がかかる使い方をすることで、電気が一点に集中してコードやプラグが破損しやすくなります。電気コードやプラグが破損すると、中の導線が剥き出しとなり漏電の恐れが高まります。さらに、長期間同じ電気コードやプラグを使い続けることも、劣化による破損の可能性が高いです。

建物の劣化

どこでも電気が使えるよう、建物の屋根裏や壁の中には電気配線が張り巡らされています。建物が劣化すると屋根や壁から雨水が入り込み、雨漏りによって配線や器具が濡れて漏電することがあります。電化製品がない場所であっても、漏電する可能性があるため注意が必要です。

小動物

建物の隙間からネズミなどの小動物が侵入すると、電気配線がかじられてしまい破損する恐れがあります。小動物の侵入だけでなく、飼っているペットが電気コードをかじる可能性も少なくありません。電気配線が破損すると、中にある導線が剥き出しとなり漏電につながります。

タコ足配線

タコ足配線とは、コンセントを増やすための電源タップのことです。一箇所のコンセントには2つ程度しかプラグが挿せないため、タコ足配線を使っている方も多いのではないでしょうか。タコ足配線には同時にたくさんのプラグをさせるメリットがありますが、配線を無理に取り回すため電気コードが傷つきやすいといったデメリットもあります。電気コードが傷つくと漏電の可能性が高まるので、使える容量に気をつけましょう。

 

上記の中で漏電の原因として多いのは、「電化製品の劣化」「電気コードやプラグの破損」「タコ足配線」になります。

器具が原因になることが多いのですね。

まずは器具を疑ってみること、また日常の使用方法についても注意しておきましょう。

漏電したときの対処方法

漏電は、放置すると感電や火災などの恐ろしい被害につながる可能性があります。「漏電しているかも…?」と思ったら、以下の方法で適切な対処を行いましょう。

・漏電の場所を特定する
・漏電の修理を依頼する

漏電の場所を特定する

漏電の疑いがある場合は、まずは漏電している場所を特定することが大切です。建物内で漏電が起きると、分電盤の中にある漏電ブレーカー(上の写真の△注意マークの下にあるブレーカー)が落ちる仕組みになっています。そのため、漏電の場所を特定するためには分電盤で以下の動作を行いましょう。

1:すべての安全ブレーカー(小さなブレーカー・・・基本的に15~20Aを超えると落ちる仕組みになっています)を下げる
2:漏電ブレーカーだけを上げる
3:安全ブレーカーを一つずつ上げていく

3のタイミングで、漏電ブレーカーが下がった場所が漏電しています。漏電場所が特定できたら、漏電している場所のブレーカーだけを下げ他のブレーカーを上げてください。

漏電の修理を依頼する

漏電の場所がわかったら、速やかに漏電修理を依頼しましょう。漏電の調査や修理は感電の可能性があるため、「電気工事士」の資格がなければ行うことができません。修理業者だけでなく、電気保安協会でも修理の依頼が可能です。漏電している場所は感電や火災の危険性もあるため、決して触らないように気をつけましょう。

漏電の予防策

漏電は、普段の生活から予防することが可能です。効果的な予防策は、以下のとおりです。

・漏電ブレーカーを取り付ける
・水回りの電化製品のアース線を確認する
・プラグやコンセントの周囲をこまめに掃除する
・電気コードを折り曲げたり束ねたりしない
・タコ足配線をたくさん使わない

漏電ブレーカーを取り付ける

分電盤には、基本的に3種類のブレーカーがついています。

・アンペアブレーカー:契約しているアンペア数を超える電気を使用した際に作動する
・安全ブレーカー:部屋単位で分かれている回路ごとの電力使用量を管理する
・漏電ブレーカー:屋内のどこかで漏電が発生した際に作動する

しかし、古い建物の場合は漏電ブレーカーがない場合があります。漏電ブレーカーがあれば漏電していることがすぐにわかるため、分電盤を確認してなければ取り付けましょう。

水回りの電化製品のアース線を確認する

アース線とは、電気が外部に漏れ出た場合に漏電した電流を地面に逃がす役割があるものです。水回りで使う電化製品のほとんどについており、電源プラグと同時にコンセントに取り付けることで漏電のリスクを回避できます。上記で紹介した漏電ブレーカーは、アース線がついていなければ反応しません。古い電化製品はアース線がついていない可能性もあるため、漏電リスクを回避するためにも新しいものに交換しましょう。

プラグやコンセントの周囲をこまめに掃除する

漏電は、ホコリなどによって起こることもまれにあります。プラグやコンセントにホコリが溜まるとそこに湿気が加わり、トラックと呼ばれる電流のルートが生まれそこから電気が漏れてしまいます。ホコリが溜まると漏電だけでなく火災にもつながるため、プラグやコンセントの周囲はこまめに掃除しましょう。使わない電化製品は、コンセントを挿しっぱなしにしないことも大切です。

電気コードを折り曲げたり束ねたりしない

電気コードを折り曲げたり束ねたりすると、コードに負荷がかかり破損につながります。漏電をを防ぐ絶縁体の劣化にもつながるため、電気コードは折り曲げたり束ねたりせずなるべく真っ直ぐの状態で使いましょう。

タコ足配線をたくさん使わない

コンセントにはワットやアンペアなど電力の使用量が決められており、タコ足配線を使うことで知らずに電力使用量を超えてしまう恐れがあります。電力使用量を超えるとコンセントの発熱で発火したり漏電したりする可能性があるため、タコ足配線はむやみやたらに使わないように注意が必要です。

漏電以外の電気がつかない原因と対処法

漏電以外でも、電気がつかない原因には以下のものが挙げられます。それぞれの詳しい内容と対処法を見ていきましょう。

・ブレーカーが落ちている
・ブレーカーが壊れている
・照明器具が壊れている
・工事によって停電している
・自然災害によって停電している

ブレーカーが落ちている

契約しているアンペア数を超えたり一部分で同時に多くの電気を使用したりすると、アンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちてしまいます。ブレーカーには建物全体の電気の総量を管理する役割があり、ブレーカーが落ちると該当する場所への電気の供給がストップします。基本的にアンペアブレーカーは一つあり、安全ブレーカーは複数ついています。電気がつかない場合はまずは分電盤を確認し、ブレーカーのスイッチが「切」になっていないかを確認しましょう。

ブレーカーが落ちている場合は、分電盤のブレーカーのスイッチを「入」にしましょう。ブレーカーを触っても電流が長えることはないので、簡単に行うことができます。

ブレーカーや分電盤が壊れている

ブレーカーやブレーカーをまとめている分電盤が故障していると、電気の供給が正常に行われずに電気がつきません。ブレーカーや分電盤は滅多に故障することはありませんが、長期間使用し続けると経年劣化が起こりブレーカーが落ちやすくなります。

ブレーカーや分電盤の交換推奨時期は、13年~15年と言われています。故障して電気がつかなくなる前に、電気工事店などで点検や交換を行いましょう。ブレーカーの修理や交換は、「電気工事士」の資格を持つ人しか行うことができません。

照明器具が壊れている

照明器具が壊れていたり電球が切れていたりすると、電源のスイッチを入れても電気がつきません。建物の一部の電気のみがつかない場合は、照明器具や電球が原因の可能性が高いです。その場合、新しいものに交換すると電気がつくようになります。

故障だけでなく、電球と照明器具がしっかり接続されていなくても電気はつきません。電球には規格があるため、正しい企画かどうかも確認しましょう。ただし、ダウンライトや浴室などの照明は交換に工事が必要なため、プロの電気工事士に依頼しましょう。

工事によって停電している

建物周辺で工事が行われている場合は、周辺一帯の停電により電気がつかないことがあります。電柱や電線の修理や交換の工事では、電力会社が計画的な停電を行うことも少なくありません。ただし急に停電することはなく、事前にチラシなどで告知されるのが一般的です。工事による停電は、通電するまで待つ必要があります。

自然災害によって停電している

台風や地震などの自然災害によって電線が切れたり電柱が倒れたりすると、予期せぬ停電が起こることがあります。この場合は、電気が復旧されるのを待ちましょう

電気がつかない原因の調べ方

電気がつかない場合、原因によって対処法が異なります。電気がつかない場合、以下の方法で原因を調べましょう。

・電気がつかない場所の範囲を把握する
・分電盤を確認する
・電気工事業者に相談する

電気がつかない場所の範囲を把握する

まずは、電気がつかない場所の範囲を把握しましょう。一部の照明器具だけつかないのか建物全体がつかないのかを、さまざまな電気をつけて確かめてください。一部の照明器具だけの電気がつかない場合は、照明器具や電球が原因の可能性が高いです。建物全体の電気がつかない場合、ブレーカーに問題があることが予想されます。周辺一帯も電気がついていない場合は、何らかによる停電が起きています。

分電盤を確認する

建物全体の電気がつかない場合、分電盤にあるブレーカーを確認しましょう。住宅の場合、基本的に分電盤は玄関や脱衣所に設置されています。ブレーカーが落ちる原因の多くが、電気の使いすぎです。電子レンジや暖房器具、ドライヤーなどの消費電力が大きい家電の電源を切り、落ちたブレーカーを上げ直せすことで電気がつくようになります。

電気工事業者に相談する

漏電ブレーカーが落ちている場合や何度もブレーカーが落ちている場合は、漏電の可能性が高いです。上記で紹介した方法で漏電の場所を把握したあとは、電気工事業者に点検や修理を依頼しましょう。業者によっては修理に時間がかかる場合もあるため、その際は懐中電灯やスマホのライトを活用するのがおすすめです。

まとめ

建物の電気がつかない場合、漏電の可能性が高いです。漏電にはさまざまな原因があり、放置すると火災や感電などの命にかかわるリスクがあります。漏電が疑われる場合は、今回紹介した対処法を行い速やかに電気工事業者に点検と修理を依頼しましょう。

漏電以外にも、ブレーカーや照明器具の故障など電気がつかない原因にはさまざまな理由が考えられます。対処法は原因によって異なるため、今回紹介した3つの方法で原因を把握することが大切です。

建物の漏電が疑われる場合や分電盤の故障など電気に関するトラブルが起きた方は、「日本中央住販カスタマーサービス」にご相談ください。当社にて建物を所有しているオーナーの方だけでなく、当社以外で建築された建物に関する相談も受け付けています。

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